
「マンション経営は節税に効果がある?」
「どうすればマンション経営で節税ができる?」
上記のような疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか?
マンション経営は、安定した家賃収入を得られる投資方法として注目されています。しかし、不動産所得に対する課税(所得税、住民税)や固定資産税などさまざまな税金が発生するため、効果的な対策を取り、節税していくことが重要です。
本記事では、マンション経営に関連する税金の種類とそれぞれの節税方法、また経費計上の考え方や節税時のポイントについて詳しく解説します。
目次
マンション経営に関して節税できる税金の種類

マンション経営では多くの税金が発生します。ここでは、マンション経営にかかる税金のうち、節税が見込める税金の種類について下記4つを解説します。
- 所得税・住民税
- 固定資産税
- 相続税
- 贈与税
所得税・住民税
マンション経営で得た不動産所得に対しては、所得税と住民税がかかります。これらの税金は、家賃収入などの総収入金額から必要経費を差し引いた金額が課税対象となります。所得税は累進課税制度が適用され、所得が多いほど税率が高くなる(5~45%)のが特徴です。一方、住民税は一定の税率(10%)で課税されます。
参考:「所得税のしくみ」(国税庁)
参考:「個人住民税」(総務省)
固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に課税される税金です。マンション経営者にとって、固定資産税は大きな負担となる場合があります。固定資産税の金額は土地と建物の課税標準額(固定資産税評価額)に標準税率(1.4%)を掛けて求められます。
相続税
マンション経営者が所有する不動産は、相続時に相続税の課税対象となります。相続税は、被相続人の遺産評価額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いた金額に対して課税されます。税率は課税遺産総額によって10~55%です。
参考:「No.4152 相続税の計算」(国税庁)
参考:「No.4155 相続税の税率」(国税庁)
贈与税
マンション経営者が生前に不動産を贈与する場合、贈与税が課税されます。贈与税は、暦年贈与を利用する場合、1年間に贈与された財産の合計額から基礎控除額(年間110万円)を差し引いた金額に対して課税されます。贈与税の税率は課税額によって10%~55%となります。
参考:「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」(国税庁)
マンション経営に関係する税金ごとの節税の方法

マンション経営で節税が見込める税金の種類について説明しましたが、続いては、それぞれの効果的な節税方法について解説します。
所得税・住民税の節税の方法
マンション経営において所得税・住民税の節税が可能なのは、主に給与所得がある人です。マンション経営の損益がマイナスの場合、給与所得と損益通算(マンション経営の赤字を給与所得から差し引くこと)ができるため、全体の課税所得を減らすことができます。この仕組みを利用することで、特にサラリーマンにとっては大きな節税効果が期待できます。
確定申告の際に青色申告を行うことも効果的な節税方法です。青色申告を選択すると、最大65万円または55万円の青色申告特別控除を受けることができます。さらに、青色事業専従者給与の制度を利用すれば、家族に給与を支払うことで給与分を経費化でき、不動産所得から控除ができるようになります。
マンション経営にかかる費用を適切に経費計上することも、節税において重要です。修繕費、管理費、減価償却費などの必要経費を漏れなく計上することで、課税所得の適正化が図れます。特に減価償却費は、マンションの法定耐用年数に応じて長期間にわたり計上できるため、安定した節税効果を期待できます。
参考:「No.2250 損益通算」(国税庁)
参考:「青色申告特別控除」(国税庁)
参考:「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」(国税庁)
固定資産税の節税の方法
更地を所有している人が自身の保有する土地の上に賃貸用マンションを建てた場合、住宅用地の特例措置を受けることで土地の固定資産税の節税が可能です。特例措置により、固定資産税の課税標準額が大幅に軽減されるからです。
マンション経営における住宅用地の特例について解説すると、以下のようになります。
- 小規模住宅用地(住戸数×200㎡以下の部分):課税標準額が評価額の6分の1に軽減されます。
- 一般住宅用地(1を超える部分):課税標準額が評価額の3分の1に軽減されます。
また、土地の上に新築マンション(40㎡以上280㎡以下)を建てる場合、新築住宅に係る税額の減額措置として、120㎡相当部分については新築から5年間(※)は建物の固定資産税が2分の1になります。ただし、軽減を受けられるのは5年間で、6年目からは通常通りの固定資産税がかかる点は注意が必要です。
※認定長期優良住宅の場合7年間になります。
参考:「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」(東京都主税局)
参考:「新築住宅に係る税額の減額措置」(国税庁)
参考:「認定長期優良住宅に関する特例措置」(国税庁)
相続税の節税の方法
賃貸中のマンションは相続税評価額が市場価格よりも低く設定されるため、相続財産の評価額を抑えることができ、相続税の軽減が見込めます。さらに、マンション経営によって生じた借入金は相続財産から控除できるため、相続税の課税対象となる財産を減らすことができます。ただし、これらの方法を適切に実行するためには専門的な知識が必要となるため、税理士などの専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。
贈与税の節税の方法
贈与税の節税方法としては、相続時精算課税制度の活用が挙げられます。この制度を利用すると、累計2,500万円までの贈与について贈与税が非課税となります。
また、不動産の贈与において、暦年贈与を利用して所有権の一部(例えば、持分の1割)を複数年にわたり贈与していくことで、基礎控除を活用して贈与税の負担を軽減させられます。これにより、一度に多額の贈与税が発生することを回避できるのです。
なお、相続時精算課税制度と暦年贈与は併用ができず、どちらか一方を選択する必要がある点に注意が必要です。
マンション経営の節税につながる経費計上の考え方
マンション経営で節税するためには、確定申告時の適切な経費計上が重要です。ここでは、経費計上ができる費用と、認められていない費用について解説します。
経費計上できる項目の例
経費 | 概要 |
租税公課 | 固定資産税や都市計画税、登録免許税など各種税金 |
減価償却費 | 建物や設備の価値減少分 |
管理費 | マンションの共用部分の維持管理にかかる費用 |
賃貸管理委託手数料 | 不動産管理会社に支払う手数料 |
各種保険料 | 火災保険や地震保険などの保険料 |
借入金の利息 | マンション購入のための借入金にかかる利息 |
これらの経費を適切に計上することで、不動産所得を減らし、節税効果を高めることができます。特に減価償却費は、現金支出を伴わない費用であるため、キャッシュフローを圧迫せずに経費計上できる重要な項目です。
経費計上の際は、国税庁の定める法定耐用年数や、資本的支出と修繕費の区分などに注意が必要です。不明な点がある場合は、税理士等に相談することをおすすめします。
経費計上できない項目の例
経費 | 概要 |
私生活の費用 | マンション経営に関係がない経費 |
借入金の元本 | ローンの返済のうち、元金部分 |
個人にかかる税金 | 所得税や住民税など、個人の税金 |
これらの項目は、マンション経営の経費として認められません。注意が必要なのは、私生活の費用をマンション経営の経費として計上してしまうケースです。
例えば、マンションのオーナーが自身の住居として使用している部分の費用は、経費として認められません。また、借入金の返済については、利息は経費として認められますが、元本部分は経費として計上できません。これは、元本の返済が資産の取得と見なされるためです。
経費計上の際は、これらの項目を適切に区分し、マンション経営に直接関係する費用のみを計上することが重要です。不適切な経費計上は、税務調査の対象となる可能性があるため注意しましょう。
マンション経営で節税をする際のポイント
マンション経営において効果的な節税を行うためのポイントとして、以下の2点を解説します。
- 節税より利益を追求する
- マンション経営の法人化を検討する
節税より利益を追求する
マンション経営は節税を主目的とするのではなく、適切に運用して利益を増やすことを目指すのが望ましいです。そのため、節税に関してはあくまで払い過ぎを防ぐ目的で行う、という意識を持ちましょう。
不動産所得を赤字にするために、無理に費用を増やしては本末転倒です。例えば、必要以上に高額な修繕を行ったり、入居者にとって不必要な設備を導入したりすることは、短期的には節税効果があるように見えても、キャッシュフローの悪化を招き、経営の安定性を損なう恐れがあります。
適切な管理と運営によって安定した家賃収入を確保し、必要な経費を適切に計上して健全な収支バランスを保つことが重要です。これにより、持続可能なマンション経営と適正な節税を両立させることができます。
マンション経営の法人化を検討する
マンション経営の課税所得が900万円を超える場合、法人化を検討すると良いでしょう。課税所得が900万円を超えると、所得税より法人税のほうが税率が低くなるためです。
▼所得税と法人税の税率の比較
1. 所得税
– 課税所得195万円以下:5%
– 課税所得195万円超330万円以下:10%
– 課税所得330万円超695万円以下:20%
– 課税所得695万円超900万円以下:23%
– 課税所得900万円超1,800万円以下:33%
2. 法人税
– 年間所得800万円以下:15%
– 年間所得800万円超:23.2%
専門家を活用する
節税はやりすぎると脱税と見なされるおそれがあり、注意が必要です。どこまでが適正かはケースバイケースで判断が難しいため、税理士や不動産会社などの専門家のサポートを受けることが税負担の適正化につながります。また、専門家に相談することで、最新の税制改正や特例措置の情報を得ることもできます。
専門家への相談・依頼は費用がかかる場合がありますが、長期的には適切な節税と安定したマンション経営につながる重要な投資と言えるでしょう。
効果的に節税をしてマンション経営を効率的に行おう
この記事では、マンション経営における節税の考え方について詳しく説明しました。節税は支出を最適化するという意味で重要な要素ですが、それだけを追求するのではなく、全体的な経営戦略の一部として考えることが大切です。
また、マンション経営は買った後の管理が特に重要であり、適切な運営と維持管理が長期的な成功につながります。そのために、マンション経営に関してサポートが充実している会社をパートナー企業に選ぶことが、成功への近道となります。賃貸管理や経営、節税方法について相談できるパートナーがいることで、マンション経営の様々な課題に効果的に対処できます。
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