相続税評価額とは?土地・マンションの計算方法を税理士が解説

公開日:2026年08月22日
最終更新日:2026年08月22日

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目次

相続税評価額とは、相続税を計算する際の基準となる財産の価額のことです。
現金や預貯金と異なり、土地やマンションなどの不動産は客観的な金額が定まっていません。
そのため、国が定めた統一ルールに基づいて財産ごとの評価額を算出する必要があります。

本記事では、相続税評価額の基本的な考え方から、土地やマンション、株式といった財産別の具体的な計算方法まで、専門家である税理士がわかりやすく解説します。

相続税評価額の基本|なぜ相続税の計算に不可欠なのか

相続税を計算する際、現金以外の不動産や有価証券など、全ての財産を円に換算して総額を把握する必要があります。
その換算のための統一された基準が相続税評価額です。

もし評価の基準がなければ、同じ価値の土地でも人によって評価額が異なり、不公平な課税につながってしまいます。
相続税評価額は、課税の公平性を保ち、適正な相続税を算出するために不可欠なものさしとしての役割を担っています。

相続税評価額と時価(実勢価格)や公示価格との違い

相続税評価額、時価、公示価格は、それぞれ異なる目的で使われる不動産の価格です。
時価(実勢価格)は実際に市場で売買される価格、公示価格は国が示す土地取引の目安となる価格を指します。
一方、相続税評価額は相続税の計算専用の価格です。

一般的に、土地の相続税評価額は公示価格の80%程度、時価(実勢価格)の70%~80%程度の水準になることが多いとされています。
これらの価格は必ずしも一致しないため、目的に応じて使い分ける必要があります。

【財産別】主な相続財産の評価額の計算方法を解説

相続税評価額の計算方法は、財産の種類によって大きく異なります。
相続財産の中でも特に評価が複雑になる土地、建物、株式をはじめ、生命保険や預貯金など、主な財産についての評価方法をそれぞれ解説します。
財産ごとに定められたルールを正しく理解し、適切な計算方法を用いることが、正確な相続税評価額を算出するための第一歩となります。

これから、それぞれの財産について具体的な評価方法を見ていきましょう。

【土地】路線価方式による評価額の具体的な計算ステップ

路線価方式は、主に市街地の宅地を評価する際に用いられる方法です。
まず、国税庁が公表する路線価図で、評価対象の土地が接する道路に設定された路線価(1平方メートルあたりの価額)を確認します。
次に、その路線価に土地の面積を乗じて基本的な評価額を算出します。
さらに、土地の形状が正方形や長方形でない場合は、奥行価格補正率や不整形地補正率といった各種補正率を乗じて、土地の個別の状況に応じた評価額の調整を行います。

【土地】倍率方式が適用される場合の評価額算出方法

倍率方式は、路線価が定められていない郊外の土地や山林、農地などの評価に用いられる計算方法です。
この方式では、土地の固定資産税評価額に、国税庁が地域ごと・地目ごとに定める「評価倍率」を乗じて相続税評価額を算出します。
計算方法は「固定資産税評価額×評価倍率」と非常にシンプルです。

評価倍率は国税庁のウェブサイトで公開されている評価倍率表で確認できます。
固定資産税評価額は、毎年送付される固定資産税の納税通知書や、市区町村で取得できる評価証明書で確認可能です。

【建物】固定資産税評価額を基にしたシンプルな計算式

建物の相続税評価額は、土地に比べてシンプルな計算式で算出されます。
自宅として使用していた家屋の場合、その建物の固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。
一方、賃貸アパートなど他人に貸している家屋(貸家)の場合は、入居者の権利(借家権)を考慮して評価額が減額されます。

具体的な計算式は「固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)」となり、借家権割合は全国一律30%と定められています。

【マンション】2024年税制改正後の新しい評価ルールのポイント

2024年1月1日以降の相続から、マンション(区分所有財産)の評価ルールが改正されました。
この改正は、特にタワーマンションなどで見られた市場価格と相続税評価額の大きな乖離を利用した節税策に対応するものです。
国税庁が出した新しい通達により、従来の評価額が市場価格の60%未満になる場合、評価額の補正が必要になりました。

具体的には、築年数、総階数、所在階、敷地持分などを基に算出した理論上の市場価格と、従来の評価額との乖離を埋めるための計算が行われます。

【上場株式】4つの価格から最も有利なものを選ぶ評価方法

上場株式の相続税評価額は、相続開始日の最終価格、または相続開始月の毎日の最終価格の月平均額、前月の月平均額、前々月の月平均額のうち、最も低い価額を選択できます。この計算方法により、株価が一時的に高騰した場合でも、より低い価格を選択して相続税の負担を抑えることが可能です。なお、投資信託の評価方法は、その種類によって異なります。

【非上場株式】会社の状況によって異なる評価方法の概要

非上場株式は上場株式と異なり市場価格が存在しないため、評価が非常に複雑です。
会社の規模(大会社・中会社・小会社)や、株主が同族株主かそれ以外かによって、適用される計算方法が変わります。

主な評価方式には、事業内容が類似する上場企業の株価を参考にする「類似業種比準価額方式」や、会社の純資産額を基に評価する「純資産価額方式」などがあります。
これらの方式を会社の状況に応じて組み合わせるため、専門的な知識が不可欠です。

【預貯金・生命保険】財産価値の基本的な考え方

預貯金の評価は、相続開始日時点の預金残高に、その日までに発生した利息を加えて算出します。
生命保険については、契約形態によって評価方法が異なります。
被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、みなし相続財産として扱われ、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用されます。

被相続人以外の人が被保険者である保険契約については、相続開始日時点の解約返戻金の額が評価額となります。

土地の評価額を大幅に減額できる「小規模宅地等の特例」とは

小規模宅地等の特例は、相続税の負担を軽減するための非常に効果的な制度です。
被相続人が住んでいた自宅の敷地や、事業を営んでいた土地などを一定の要件を満たす親族が相続した場合に、その土地の相続税評価額を最大で80%減額できます。

相続財産に占める土地の割合は大きいことが多く、この特例を適用できるかどうかで相続税額が大きく変わるため、制度の理解と適用要件の確認が重要になります。

特例適用で土地の評価額が最大80%減額される条件

小規模宅地等の特例で最大の80%減額を受けるためには、土地の種類や相続する人、面積に関する条件を満たす必要があります。
例えば、被相続人が居住していた宅地(特定居住用宅地等)の場合、配偶者や同居親族が相続し、申告期限まで所有し続けることで、330平方メートルを上限に評価額が80%減額されます。
事業用の土地や貸付用の土地にもそれぞれ異なる上限面積と減額割合が定められており、適用には詳細な要件の確認が不可欠です。

土地の形状や立地条件に応じた評価額の補正計算

土地の評価額は、路線価に面積を乗じるだけでなく、その土地が持つ個別の要因を反映させるための補正計算が行われます。
例えば、きれいな四角形でない「不整形地」や、公道に接していない「無道路地」、道路に接する間口が狭い土地、いわゆる「旗竿地」などは、利用価値が低いと見なされ評価額が減額されます。
奥行が長すぎる土地や、私道のみに接している土地なども同様に評価額が下がることがあり、これらの補正を正しく行うことで、土地の評価額を適正に算出できます。

補正には専門的な知識が必要な場合が多く、補正率の適用が評価額に大きく影響します。

自分で相続税評価額を調べるために必要な書類と情報源

相続税評価額を自分で計算する場合、いくつかの公的な資料や情報を集める必要があります。
土地の評価に用いる路線価や評価倍率は国税庁のウェブサイトで確認できます。
また、建物の評価や倍率方式で土地を評価する際の基礎となる固定資産税評価額は、市区町村役場から取り寄せる「固定資産評価証明書」や、毎年送られてくる「固定資産税納税通知書」で確認することが可能です。

これらの情報源を正しく利用することが、正確な評価額算出の第一歩です。

国税庁サイトでの路線価図・評価倍率表の探し方と見方

土地の評価に不可欠な路線価図や評価倍率表は、国税庁のウェブサイト内にある「財産評価基準書」のページで閲覧できます。
トップページから都道府県を選択し、次に「路線価図」または「評価倍率表」を選んで進みます。
路線価図のページでは、市区町村名から該当の住所を検索すると地図が表示され、道路に付された「150C」のような記号と数字が確認できます。

この数字が1平方メートルあたりの価額(千円単位)を示しており、これがその道路の路線価です。

評価額の計算に必要な固定資産税評価証明書の取得方法

固定資産税評価証明書は、建物の評価額や、倍率方式で土地を評価する際の基礎となる固定資産税評価額を確認するための公的な書類です。
この証明書は、対象となる固定資産が所在する市区町村の役所(東京23区の場合は都税事務所)で取得します。

相続人が申請する場合、被相続人の死亡の事実が記載された戸籍謄本、申請者自身の本人確認書類、相続関係を証明する書類などが必要です。
郵送での請求も可能な自治体が多いです。

相続税評価額の計算を税理士に依頼した方が良いケース

相続財産が預貯金や生命保険など、評価額の算定が容易なものだけであれば、ご自身で計算することも可能です。
しかし、評価に専門知識を要する土地や非上場株式などが財産に含まれている場合、税理士に相続税評価額の計算を依頼することをお勧めします。
特に土地の評価は複雑な補正計算が必要な場合が多く、評価額の算出を誤ると、税金を納めすぎたり、逆に追徴課税を受けたりするリスクがあります。

複雑な土地評価や非上場株式の評価は専門家への相談が賢明

複数の道路に面している土地や、不整形地、広大な土地の評価は、専門的な知識がないと適正な減額評価を見逃す可能性があります。
また、非上場株式の評価は会社の財務諸表を分析する必要があり、極めて難易度が高い作業です。
このような複雑な財産の評価は、相続税専門の税理士に相談するのが賢明です。

税理士は必要に応じて不動産鑑定士と連携を取りながら、法的に認められる範囲で最も有利な評価額を算出します。

相続税評価額に関するよくある質問

ここでは、相続税評価額に関して多くの方が疑問に思う点について、質問と回答の形式で解説します。

相続税評価額はなぜ時価(実勢価格)よりも低くなるのですか?

納税者の負担軽減と課税の公平性を確保するためです。
時価は常に変動するため、納税時期によって税額が大きく変わる可能性があります。
そこで、時価よりも安定した公的価格である公示価格を基準に相続税評価額が設定されます。

これにより、安定した基準で全国の土地を公平に評価する目的があります。

自分で土地の相続税評価額を計算するには何から始めればいいですか?

まず、その土地の評価方式が「路線価方式」か「倍率方式」かを確認することから始めます。
路線価は国税庁のウェブサイトで、評価の基礎となる固定資産税評価額は市区町村で確認します。
どちらの方式が適用されるかは国税庁のサイトで調べられます。

方式を特定した後、それぞれの計算ルールに従って評価額を算出します。

タワーマンションの相続税評価額が2024年から変わったのはなぜですか?

市場での売買価格と相続税評価額との間に生じていた大きな乖離を利用した、過度な節税を是正するためです。
特にタワーマンションは高層階ほど市場価格が高額になる一方、従来の評価額は階数に左右されませんでした。
この問題を解消するため、国税庁は通達を改正し、市場価格との乖離が大きい場合に評価額を補正する新たな計算ルールを導入しました。

まとめ

相続税評価額は、相続税の申告・納税における根幹をなすものであり、その計算方法は財産の種類によって大きく異なります。
特に土地や非上場株式の評価は専門性が高く、特例や補正の適用有無によって評価額が大幅に変わることがあります。
財産の内容が複雑で評価額の算出に不安がある場合は、正確な申告と適切な納税のために、相続を専門とする税理士に相談することを検討するのが良いでしょう。

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この記事の監修者:北嶋 憲

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株式会社新日本コンサルティング アセットマネジメント事業部部⾧

1974 年1月生まれ
自身も複数棟のアパート経営を行うサラリーマン大家