マンション経営に利用できるローンは?借りる際のポイント

公開日:2025年03月31日
最終更新日:2025年04月07日

マンション経営を始めるうえで、多くの人が直面する課題が資金調達です。自己資金だけでマンションを購入できる人は少ないため、ほとんどはローンを利用して購入資金を確保します。しかし、「多額の借金を背負うことに抵抗がある」という人もいるのではないでしょうか。

ローンを上手に活用すれば自己資金より高額の物件を購入できます。ローンをいかにして活用するかは、マンション経営において欠かせない戦略と言えるでしょう。

この記事では、マンション経営を考えている人が知っておきたいローンの種類や、借りる際のポイントについて詳しく解説します。

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マンション経営を始める際に利用できるローン

マンション経営の資金調達には、主にアパートローン(不動産投資ローン)が利用されます。多くの場合、自己資金とローンを組み合わせて経営をスタートさせます。まずはアパートローンについて、解説します。

アパートローンと住宅ローンの違い

アパートローンは投資用不動産を対象とした金融商品で、住宅ローンは自身が居住するための自宅購入を目的としたローンです。同じ不動産取得向けのローンですが購入する物件の用途が異なります。そのほか、融資限度額や金利、審査基準などの面に違いがあります。

融資限度額については、アパートローンのほうが一般的に高額になります。これは、投資用物件の価格が自宅に比べて高いことが多いためです。1億円を超える物件も珍しくありません。

金利に関しては、通常、アパートローンのほうが住宅ローンよりも高めに設定されています。これは、投資目的の物件購入にはリスクが伴うため、金融機関がそのリスクに見合った金利を設定しているからです。

審査基準については、アパートローンのほうがより厳格です。アパートローンは投資物件の収益性や将来性も慎重に評価します。一方、住宅ローンでは主に借り手の返済能力に焦点を当てた審査が行われます。

アパートローンはどこで利用できる?

アパートローンを提供している金融機関は多岐にわたります。主な取り扱い機関として、都市銀行、地方銀行、信用金庫などが挙げられます。融資の条件は金融機関ごとに異なっています。したがって、自身の事業計画や経営状況に適した金融機関を選択することが重要になってきます。

都市銀行は一般的に審査基準が厳しい傾向にあります。特に大手銀行は厳格な基準を設けており、安定した事業計画や十分な資産が求められることが多いです。

一方、地方銀行や信用金庫は、比較的審査の基準が緩やかな場合があります。地域密着型の金融機関であるため、地元の不動産市場に精通しており、柔軟な対応が期待できることもあります。

マンション経営に利用できるアパートローンの主な審査基準

アパートローンの審査はいくつかの項目に沿って行われます。今回は借り手の属性、物件の資産価値、事業の将来性という3つの観点からアパートローンの審査基準を解説します。

借り入れる人の属性

アパートローンの審査では、借り手本人の属性を判断材料としています。ローンの返済能力を審査するためです。

金融機関は借り手の収入が安定しているかどうかを確認します。勤続年数や勤務先の規模、業種といった要素が考慮されます。安定した企業に長く勤務している人ほど信頼性が高いと評価されやすいです。

こうした要素に加えて、預金や有価証券、不動産などの資産をどの程度保有しているかも確認され、返済能力の評価に反映されます。

マンションの資産価値

購入予定の物件が持つ資産価値も、アパートローンの審査における重要な要素です。物件は融資の担保として扱われるため、その価値が融資希望額に対して適切であることが求められます。

具体的には、金融機関は担保価値を評価し、万が一借り手が返済不能になった場合に物件を売却して残債を回収できるかを判断します。新築物件でまだ建物が完成していない場合は、建築プランや立地条件、さらには建築会社の信頼性や実績等を踏まえて審査を行います。

事業の将来性

マンション経営の成功は、収益を生み出す能力とそれを長期的に維持する力にかかっています。金融機関は、このような「事業の将来性」を審査基準に組み込んでいます。アパートローンはマンション経営で得られる家賃収入から返済するため、事業の収益性やリスクの有無も審査基準に含まれます。

金融機関は、予想される家賃収入と経費のバランスが適切かどうかを確認し、収益性を評価します。さらに、修繕費や税金といった将来的なコストを考慮した収支計画が現実的であるか、空室リスクや家賃下落といった課題に対して適切な対策が取られているかもチェックされます。空室や家賃下落などのリスクに対する適切な対策が事業計画書の中で明確に示されていることなども求められます。

マンション経営でアパートローンを利用する際のポイント

アパートローンを活用してマンション経営を成功させるには、以下のポイントに注意が必要です。順を追って説明します。

  • 自己資金を多く用意する
  • 金融機関を比較する
  • 信頼性のある建築会社に依頼する

自己資金を多く用意する

いくらローンを利用するからといって、必要な初期費用をすべてローンで賄うのは現実的ではありません。物件価格の全額を借り入れることをフルローンと呼びますが、フルローンは融資の審査がかなり厳しくなります。

マンション経営を始める際には、購入価格の1~3割程度の頭金を用意するのが一般的です。自己資金が多ければ借入額を減らすことができ、毎月の返済負担も軽減されます。

ちなみに、自己資金がどれくらいあるかは融資の審査にも影響します。マンション経営の実績がない場合は特に顕著です。マンション経営をこれから始める人の場合、自己資金が少ないと審査に落ちる可能性があります。

金融機関を比較する

アパートローンを利用する際には、複数の金融機関の比較検討が欠かせません。金融機関ごとに融資条件が異なるため、適切な選択をするには慎重な判断が必要です。融資限度額が自身の計画に合致しているか、返済期間が無理のない範囲で設定されているかを検討しましょう。また、融資手数料や保証料といった諸費用も考慮し、総合的に負担が軽くなる選択肢を見極めることが必要です。

また、金融機関に複数の会社を検討している旨を伝えると、条件交渉がしやすくなることもあります。このような交渉をスムーズに進めるためには一定のノウハウが必要です。不動産会社などの専門家に相談してサポートを受けるのが望ましいでしょう。

信頼性のある建築会社に依頼する

マンションを新築する際には、信頼できる建築会社を選ぶことが重要になってきます。信頼性の高い建築会社は、安心してマンションの建築を任せられるほか、会社の信頼度がマンションの信頼性や価値にもつながるのです。

信頼性の高い建築会社が手掛ける物件は、金融機関からも高い評価を得やすく、融資審査を有利に進める要因となります。さらに、品質の高い建物は入居者にとっても魅力的であるため、安定した入居率や収益の確保につながります。信頼できる建築会社は建築後のメンテナンスやサポートにも力を入れていることが多く、後々の物件管理の手間を軽減できるメリットもあります。

マンション経営でアパートローンを利用する流れ

ここからは、マンション経営でアパートローンを利用する流れを説明します。全体の流れに加えて、各ステップで重視することをまとめました。

STEP1. 情報収集

マンション経営の第一歩は、幅広く情報を収集することです。まずはマンション経営の基礎知識を学び、収益の仕組みや税制、起こり得るリスクについて理解を深めましょう。マンション経営の実務経験がなくても基礎的な知識があれば、ある程度の判断はできるようになります。

また、投資対象となるエリアの人口動態[関戸1] や開発計画、周辺の競合物件の状況を調査し、エリアの将来的な価値を見極めることも重要です。候補となるエリアはなるべく自分の目で見て確かめるようにしましょう。インターネット上や口コミではわからない情報が明らかになるかもしれません。

続いて不動産会社や建築会社、金融機関の調査を行います。不動産会社や建築会社は過去の実績、顧客からの評判、提供されるサービス内容を確認します。アパートローンを取り扱う金融機関は融資条件や金利動向を比較しましょう。  

STEP2. 不動産会社への相談

十分な情報収集を終えたら、次は不動産会社に相談を始めます。はじめから金融機関に行くのではなく、まずは不動産会社を頼るのがおすすめです。

不動産会社では物件選びや事業計画づくり、金融機関選びなどの相談に乗ってくれます。さらに物件の立地や価格帯、将来性を考慮した提案を受けられるだけでなく、収支シミュレーションや税金対策を含む事業計画の作成支援も依頼することが可能です。不動産会社は、自社と提携する金融機関の紹介や融資条件の調整をサポートしてくれることもあります。

STEP3. 金融機関への融資相談

不動産会社からのアドバイスを基に、金融機関への融資相談を行います。なるべく複数の金融機関に相談して条件を比較するのが望ましいです。

事前に収入証明書や納税証明書、事業計画書などの必要書類を準備し、相談時には金融機関の担当者に明確な収支計画を説明できるようにしておきましょう。また、審査担当から質問が来ることも想定して、事前に準備を整えておきます。どういった質問が来るかは、融資審査のノウハウがある不動産会社の担当に尋ねると良いでしょう。

STEP4. 融資申し込み

融資条件が確認できたら、正式に融資申し込みを行います。申し込みの際はいくつかの書類を提出します。

・収入証明書:直近3年分の源泉徴収票や確定申告書など、安定した収入を証明する書類。

・物件関連書類:購入予定の物件概要書、重要事項説明書、レントロール(賃貸借条件一覧)など、物件の詳細情報を示す書類。

・本人確認書類:運転免許証やパスポートなどの身分証明書。

・既存の借入状況:他のローンの返済予定表など、現在の借入状況を示す書類。

・金融資産証明:預金通帳の写しや有価証券の明細など、保有資産を証明する書類。

・職務経歴書:学歴や職歴をまとめた書類。

・実印と印鑑登録証明書:正式な契約に使用するための印鑑とその証明書。

こうした書類を漏れなく正確に提出することが、後の融資審査を通過するためのポイントとなります。

STEP5. 融資審査

提出された書類を基に金融機関が審査を行います。主な審査項目は先述した通りです。場合によっては審査の途中で追加の質問が来たり、書類の提出を求められたりすることもあります。審査期間は最短で1~2週間程度ですが、結論がすぐに出ないときは長期化することもあります。

STEP6. 金銭消費貸借契約の締結・融資実行

無事審査に通過すると、金銭消費貸借契約を締結し、融資が正式に実行されます。金融機関とオーナーの間で契約内容を改めて確認し、金利や返済条件、担保設定などを確認します。その後、契約書や誓約書に署名し、物件に対する担保設定を行えば、すべての手続きは完了です。

ローンを有効活用してマンション経営を成功させよう

今回は、マンション経営で用いられるアパートローンについて解説しました。金融機関から融資を得られれば、自己資金より多くの額をマンション取得に利用できます。お金を借りることにマイナスイメージを持つ人もいるかもしれませんが、結果的にローリスク・ロングリターンとなるのが、ローンを有効活用したマンション経営なのです。

マンション経営を成功させるためには、資金調達から物件選び、維持管理まで、多岐にわたる知識とスキルが求められます。特に重要なのが信頼できるパートナー選びです。優れた不動産会社をパートナーとすることで、より成功に近づきます。信頼できる不動産会社をパートナーにできれば、経営に関して多くのアドバイスやサポートを受けられるからです。もちろん、ローンに関する相談も受け付けています。ローンの選択や条件交渉においても、専門的な知見を活かした助言が得られるでしょう。金利や返済条件を最適化することで、資金計画の安定性も高められるはずです。不安な点や疑問点があれば、遠慮なく相談してみましょう。

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この記事の監修者:北嶋 憲

北嶋 憲

株式会社新日本コンサルティング アセットマネジメント事業部部⾧

1974 年1月生まれ
自身も複数棟のアパート経営を行うサラリーマン大家