マンション経営にかかる頭金はどのくらい?初期費用を抑えるコツ

公開日:2025年05月30日
最終更新日:2025年06月02日

マンション経営は、不動産投資の一形態として多くの投資家に注目されています。一般的に、マンション経営を始める際には不動産投資ローンを活用し、レバレッジ効果を得ることが多いです。レバレッジ効果とは、少額の自己資金で大きな資産を運用して投資効率を高めることを指し、その効果を最大限に活かすにはローンを借りる際の頭金も大事になってきます。

この記事では、マンション経営に必要な頭金の相場や初期費用、そして初期費用を抑えながら経営を始めるコツについて解説します。

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マンション経営に必要な頭金はどのくらい?

投資するマンションの規模によって必要な額は異なりますが、経営を始める際に用意したい頭金は一般的に物件購入価格の約10%~30%が目安となります。したがって、物件購入価格が3,000万円であれば、必要な頭金は約300万円~900万円程度です。

頭金を多く用意すれば借入額が減り、毎月のローン返済額も少なくなりますが、レバレッジ効果は小さくなります。逆に、頭金を少なくすればレバレッジ効果は高まりますが、借入額が増え毎月の返済負担も大きくなります。

ちなみにマンション経営を始めるには、物件購入時の頭金に加えて「その他の初期費用(諸費用)」が必要です。その他の初期費用は、物件購入価格の約5%~10%が目安となります。その他の初期費用にはどのような支出があるのか、詳しくは後ほど解説します。

必要な頭金に差が生じる理由

マンション経営における必要な頭金の金額は、ローンの借入可能額によって大きく変動します。融資額が少ない場合は、不足分を自己資金で補う必要があるため、より多くの頭金が必要となります。ここからは、必要な頭金に差が出る理由を見ていきましょう。

ローン利用者の属性によって融資可能な金額が異なるため

不動産投資ローンを利用する際、金融機関は申込者のさまざまな情報をもとに独自の審査を行い、融資の可否を判断します。融資の審査で考慮される項目は年齢や年収、勤務状況、保有する資産、負債の状況などです。金融機関は、これらの要素を総合的に評価し、ローン申込者の返済能力を判断しています。

安定した収入があり、なおかつ十分な貯金を持つサラリーマンの場合、高額の融資を受けられる可能性が高くなります。一方、収入が不安定な状態が続いていたり、すでに他の借入金があったりする場合は、融資額が制限される可能性があります。

審査の結果、返済能力が高いとみなされれば融資が通りやすくなり、必要な頭金も少なくて済みます。反対に返済能力に不安があると判断された場合は融資額が抑えられるほか、融資を断られることもあります。

マンションの資産価値によって、融資可能な金額が異なるため

金融機関は、マンションの資産価値も考慮して融資額を決定します。マンションの資産価値を決める要素として築年数や立地、建物構造、設備のグレード、管理体制などが挙げられます。

あくまで一例ですが、地方にある築20年のワンルームマンションと、都心の新築ワンルームマンションでは資産価値が異なります。資産価値が低いと判断されると、融資額が少なくなる可能性が高いです。これは、金融機関が担保としての価値を重視しているためです。

結果として、資産価値の低い物件を購入する場合は、融資額が制限され、自己資金としての頭金を多く用意しなければならないケースも出てきます。逆に、資産価値の高い物件であれば、より多くの融資を受けられる可能性が高くなり、必要な頭金も少なくなる傾向にあります。

マンション経営を始める際に必要な頭金以外の初期費用

マンション経営を始める際には、頭金だけでなく、いくつかの初期費用が必要となります。ここからは、主な初期費用について解説していきます。

  • 仲介手数料
  • 建物にかかる消費税
  • 印紙税
  • 登録免許税(登記費用)
  • 不動産取得税
  • 火災・地震保険料
  • 司法書士手数料
  • 金融機関事務手数料

仲介手数料

不動産会社の仲介を通してマンションを購入する場合、仲介手数料が発生します。仲介手数料は、不動産会社のサービスへの対価であり、物件情報の提供や契約手続きの代行、売主との仲介など、さまざまな業務に対する報酬の意味合いを持つ費用です。

仲介手数料の上限は法律で定められており、物件価格によって異なります。具体的には以下のように計算します。

物件価格の200万円以下の部分:5%物件価格の200万円超~400万円以下の部分:4%物件価格の400万円超の部分:3%

したがって200万円超の売買を行う際は、購入金額を分割して計算します。

計算例:3,000万円の物件を購入した場合 (200万円 × 5%) + (200万円 × 4%) + (2,600万円 × 3%) = 96万円 ※消費税別

このように複数回の計算が必要になりますが、こうした計算を簡略化できるのが上限速算法です。上限速算法を使えば1度の計算で仲介手数料が求められます。

物件価格が200万円以下の場合:購入金額の5% (そのまま)物件価格が200万円超~400万円以下の場合:購入金額の4%+2万円物件価格が401万円超の場合:購入金額の3%+6万円

同じく3,000万円の物件を購入したと仮定して、上限速算法を用いて計算します。

計算例:3,000万円の物件を購入した場合 (3,000万円 × 3%)+6万円 = 96万円 ※消費税別

上限速算法を用いれば購入価格を分割しなくても計算ができます。

建物にかかる消費税

売主が課税事業者である場合、建物部分に対して消費税が課されます。これは、新築物件だけでなく、中古物件の場合も同様です。消費税率は2025年現在10%なので、建物価格の10%が消費税として上乗せされます。

印紙税

印紙税は、契約書や領収書などの課税文書に貼付する収入印紙にかかる税金です。マンション購入の際には、売買契約書や金銭消費貸借契約書(ローン契約書)などに印紙を貼る必要があります。

印紙税の額は金額によって異なっています。なお、電子契約書で締結したときは印紙税はかかりません。

領収書に記載された金額税額
100万円超~500万円以下2,000円
500万円超~1,000万円以下1万円
1,000万円超~5,000万円以下2万円
5,000万円超~1億円以下6万円
1億円超~5億円以下10万円
5億円超~10億円以下20万円
10億円超~50億円以下40万円
50億円超60万円

※100万円以下は割愛
【出典】No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで(国税庁)

登録免許税(登記費用)

登録免許税は、不動産の所有権を登記する際にかかる税金です。所有権移転登記は、購入したマンションの所有権を法的に保護するために不可欠な手続きです。マンション購入時には、新たな所有者として所有権移転登記を行い、その際に登録免許税を納付します。登録免許税の税率は、原則として不動産の固定資産税評価額の2%です。

なお、住宅ローンを利用する場合には、金融機関が担保として抵当権を設定するため、抵当権設定登記も必要となります。この登記にも登録免許税が課され、借入金額の0.4%が課されます。

ちなみに、登録免許税には軽減措置が設けられています。自己の居住用として取得する住宅の土地については、所有権移転登記の税率が2%から1.5%に軽減される特例があります。

不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得した際に課される税金です。取得した不動産の固定資産税評価額に対して3%(※)を納めます。

ただし、住宅用の土地や建物を取得した場合は、一定の条件下で軽減措置が適用されます。例えば新築住宅の場合、建物の固定資産税評価額から1,200万円を控除した額で税額を計算します。

※本来の税率は4%だが、2027年3月31日までは軽減税率が適用される。

火災・地震保険料

火災保険は建物が火災等で損害を受けたときに補償が受けられる保険です。名前は火災保険ですが、火災以外の落雷や風災、水害などの自然災害による損害も補償します。また、オプションで地震保険を追加すれば、地震や津波による損害にも備えられます。

火災保険や地震保険の保険料は、建物の構造や築年数、保険金額などによって異なりますが、一般的に年間数万円程度から数十万円程度までさまざまです。火災保険はローンを組む際に金融機関から加入を求められることも多いため、初期費用として必ず計上しておく必要があります。

司法書士手数料

司法書士は、不動産取引における登記手続きを代行する専門家です。マンション購入時には、所有権移転登記や抵当権設定登記などを行いますが、こうした手続きは複雑かつ専門知識が必要になります。したがって司法書士に依頼することが一般的です。登記手続きを司法書士に依頼する際は、手数料として報酬を支払います。

司法書士の報酬は、物件価格や業務内容によって異なりますが、一般的に数万円から十数万円程度です。正確かつ迅速な登記手続きを行うために必要な支出と考えたほうが良いでしょう。

金融機関事務手数料

ローンを利用する場合、審査や契約書作成などの事務作業に対する報酬として、金融機関に事務手数料を支払います。

金融機関事務手数料の金額は金融機関や借入額によって異なります。融資の額に関係なく一律としている金融機関もあれば、融資額に一定の割合をかけた額を手数料として定めている金融機関もあります。

マンション経営にかかる初期費用を抑えるコツ

マンション経営を始める際には頭金以外にもいくつかの初期費用がかかります。しかし、適切な方法を知っていれば、こうした初期費用をある程度抑えることができます。ここでは、初期費用を抑えるためのいくつかのコツを紹介します。

  • 仲介手数料が安くなるような工夫をする
  • 火災保険料を見直す
  • 複数の金融機関を比較する
  • マンションの取得費用は複数社から見積もりを取る

仲介手数料が安くなるような工夫をする

仲介手数料は、初期費用の中でも比較的大きな割合を占める費用の一つです。仲介手数料を抑えるためには、仲介手数料が無料または割引される不動産会社を利用しましょう。

また、同じ物件でも、異なる不動産会社を利用すると手数料が変わる場合があります。複数の不動産会社に相談し、条件を比較することで、より安い仲介手数料で物件を購入できる可能性があります。

ただし、単に安いだけでなく、不動産会社のサービスの質や信頼性も重要な選択基準となるため、あくまで総合的に判断することが大切です。

火災保険料を見直す

火災保険料は、契約する会社やプランによって金額が異なります。これらの費用を抑えるためには、複数のプランを比較してみましょう。火災保険は、その補償範囲によって保険料が決まります。必要以上の補償をつけてしまうと、無駄なコストになり得るため注意しましょう。

複数の金融機関を比較する

ローンの金利や融資条件は金融機関ごとに異なります。そのため、複数の金融機関で事前審査を受け、有利な条件で借りられるローンを選ぶことで、初期費用を抑えられる可能性があります。

マンションの取得費用は複数社から見積もりを取る

マンションの取得費用を抑えるためには、複数の不動産会社や建築会社から見積もりを取ることが効果的です。

同じような物件でも、会社によって価格や付帯条件に差があるため、比較検討することでコストパフォーマンスの高い物件を見つけやすくなります。さらに、複数社から見積もりを取れば各社が提示する契約条件を客観的に比較でき、自分の希望や予算に合った提案を見つけやすくなります。

ただし取得費用を検討する際は、単に価格だけでなく、会社の信頼性やアフターサービスなども総合的に判断するようにしましょう。初期費用を抑えることに注力しすぎた結果、維持費用の出費が増えて余計なコストがかかってしまうという可能性もあるためです。必要以上に費用を削減しすぎると、物件の品質や将来の収益性に影響を与える可能性があるため、あくまでバランスが大事になってきます。

マンション経営を成功させるには適切な初期投資から

マンション経営は、適切な初期投資と長期的な視点に立った運営が成功の鍵となります。今回の記事で解説したように、マンション経営を始める際には頭金だけでなく、いくつかの初期費用が必要となります。これらの費用を正確に把握することが、安定したマンション経営を始める第一歩と言えるでしょう。

マンション経営で安定した家賃収入を得るためには、入居者の確保や物件の維持管理、そして適切な修繕計画が欠かせません。したがって初期費用を抑えることだけに注力するのではなく、マンションを買った後にかかる費用を考慮することも大切です。

新日本コンサルティングは、マンション経営に関する豊富な経験と専門知識を持ち、物件選びから運営管理まで、マンション経営に関する総合的なサポートを提供しています。マンション経営に興味のある方は、ぜひ気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者:北嶋 憲

北嶋 憲

株式会社新日本コンサルティング アセットマネジメント事業部部⾧

1974 年1月生まれ
自身も複数棟のアパート経営を行うサラリーマン大家