
アパート経営の成否を大きく左右する要素の一つが、アパートローンの金利です。
金利がわずかに違うだけでも、長期にわたる返済総額には大きな差が生まれます。
この記事では、2025年最新のアパートローン金利の相場やこれまでの推移、今後の動向について詳しく解説します。
また、金融機関ごとの特徴比較や審査のポイント、さらには低金利で融資を受けるための具体的なコツまで、アパート経営を成功させるために不可欠な情報を網羅的に提供します。
目次
現在のアパートローン金利相場は?【2025年最新情報】
2025年現在のアパートローン金利の相場は、金融機関の種類や個人の属性、物件の評価によって異なりますが、変動金利でおおむね1%台から4%台の範囲で推移しています。
特にネット銀行では1%台前半の低い金利を提示するケースも見られますが、地方銀行や信用金庫では2%から3%台が中心となります。
金融機関が公表している店頭金利から、個別の審査結果に応じて優遇金利が適用され、実際の借入金利が決まるのが一般的です。
平均的な水準としては2%前後が一つの目安となりますが、融資を受けるためには入念な準備と交渉が必要です。
アパートローンの金利タイプ2種類の特徴を解説
アパートローンには、主に「変動金利」と「固定金利」の2種類の金利タイプが存在します。固定金利の中には、一定期間金利が固定される「固定金利(期間選択型)」も含まれますが、「全期間固定金利」は一般的ではありません。
それぞれにメリットとデメリットがあり、将来の金利変動リスクや返済計画の立てやすさが異なります。どのタイプが最適かは、個人の資金計画やリスクに対する考え方によって変わるため、それぞれの特徴を正しく理解し、自身の事業計画に最も合った選択をすることが、安定したアパート経営の第一歩となります。
返済額が変動する「変動金利」のメリット・デメリット
変動金利は、市場金利の変動に応じて定期的に金利が見直されるタイプです。
最大のメリットは、借入当初の金利が固定金利に比べて低く設定されている点にあります。
金利が低いままであれば、総返済額を抑えることが可能です。
一方で、将来金利が上昇すると返済額も増加するというリスクを伴います。
一般的に金利の見直しは半年に一度、返済額の再計算は5年ごとに行われます。
急激な返済額の増加を防ぐため、返済額の上昇を前回の1.25倍までとするルールが適用される場合が多いです。
金利の変動リスクを許容でき、金利上昇時にも対応できる資金的余裕がある方に適しています。
金利が固定される「固定金利」のメリット・デメリット
固定金利型アパートローンは、借入時から完済まで金利が変わらないため、毎月の返済額が一定となるのが大きな特徴です。
この固定金利のメリットは、金利変動リスクを回避できるため、将来にわたって返済計画を立てやすい点です。
市場金利が上昇しても、返済額が増える心配がないため、安定したキャッシュフローを維持できます。
一方で、デメリットとしては、変動金利型に比べて借入当初の金利が高めに設定される傾向があることです。
もし市場金利が低下しても、その恩恵を受けることはできません。
金利の変動に一喜一憂することなく、着実な返済を望む方に適しています。
【グラフで見る】アパートローン金利の過去の推移と今後の動向予測
アパートローンの金利は、日本銀行の金融政策や国内外の経済情勢に大きく影響されます。
過去の金利推移を理解することは、現在の金利水準を客観的に評価し、今後の金利動向を予測する上で非常に重要です。
ここでは、これまでのアパートローン金利がどのように変動してきたかを振り返り、そのデータと最新の経済状況を踏まえ、2025年以降の金利が今後どのように変化していくかを見通します。
長期的な視点での事業計画を立てるために、金利の大きな流れを把握しておきましょう。
これまでのアパートローン金利はどのように変動してきたか
これまでアパートローン金利は、長らく続いた日本銀行の金融緩和政策を背景に、歴史的な低水準で推移してきました。
特に2020年から2021年にかけては、超低金利の恩恵を受けやすく、不動産投資を始めるには有利な環境でした。
しかし、その後世界的なインフレの進行や米国の利上げなどを受け、日本の長期金利にも上昇圧力がかかり始めました。
これに伴い、アパートローンの金利も底を打ち、緩やかな上昇傾向に転じています。
金融緩和政策の修正が始まったことで、長年の低金利時代は転換点を迎え、金利がある程度存在する「金利のある世界」へと移行しつつある状況です。

2025年以降のアパートローン金利はどうなる?今後の見通しを解説
2025年以降のアパートローン金利は、緩やかな上昇傾向が続くと予測されます。
最大の要因は、日本銀行がマイナス金利政策を解除し、金融政策の正常化を進めていることです。
これにより長期金利が上昇し、アパートローンの基準金利も引き上げられる可能性が高いと考えられます。
ただし、急激な利上げは国内景気に悪影響を及ぼす恐れがあるため、上昇のペースは緩やかで段階的なものになる見込みです。
今後の金利動向は、日銀の追加利上げのタイミングやペース、海外経済の動向、国内の物価や賃金の上昇率といった複数の要因に左右されるため、常に最新の経済ニュースに注意を払う必要があります。
【取扱金融機関別】アパートローンの金利と特徴を比較
アパートローンは、都市銀行や地方銀行、ネット銀行、ノンバンク、日本政策金融公庫など、さまざまな金融機関で取り扱われています。
金融機関ごとに金利水準はもちろん、審査基準や融資額の上限、融資期間などの条件が大きく異なります。
そのため、自分自身の状況や購入したい物件の特性に合わせて、最適な金融機関を選ぶことが重要です。
ここでは、主要な金融機関のカテゴリー別に金利や特徴を一覧で比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
自分に合った銀行選びの参考にしてください。
地域密着型で相談しやすい「地方銀行・信用金庫」
地方銀行や信用金庫は、地域経済の発展に貢献することを目的としており、地域密着型のきめ細やかな対応が特徴です。
地元の不動産市場に精通しているため、物件の評価や事業性について深く理解してくれる可能性があります。
対面での相談が基本となるため、担当者と直接コミュニケーションを取りながら、親身に相談に乗ってもらえる点は大きなメリットです。
特に、初めてアパート経営に挑戦する方にとっては心強い存在となるでしょう。
ただし、金利はネット銀行などと比較すると若干高めに設定される傾向があります。
金利の低さが魅力の「ネット銀行」
ネット銀行は、実店舗を持たずオンラインでの取引を主軸とすることで、運営コストを抑えているのが特徴です。
その結果、アパートローンの金利も他の金融機関に比べて安い傾向にあり、低金利での借入を希望する方にとって大きな魅力となります。
申込から契約までの手続きがウェブサイト上で完結する場合が多く、時間や場所を選ばずに手続きを進められる利便性もメリットです。
一方で、対面での相談ができないため、自分で情報を集めて判断する必要があります。
また、審査はシステム化されていることが多く、申込者の属性や物件の収益性などが厳格に評価される傾向があります。
審査基準が柔軟な「ノンバンク」
ノンバンクは、預金業務を行わない融資専門の金融機関です。
銀行とは異なる独自の審査基準を設けており、審査の柔軟性が高いことが最大の特徴です。
そのため、申込者の属性や他の借入状況などが原因で銀行の審査に通らなかった場合でも、物件の収益性や将来性を高く評価してもらえれば、融資を受けられる可能性があります。
また、審査スピードが速い傾向にあるため、急いで融資を受けたい場合にも選択肢となります。
ただし、こうしたメリットがある分、金利は銀行に比べて高めに設定されるのが一般的であり、返済計画には注意が必要です。
公的融資で安心感のある「日本政策金融公庫」
日本政策金融公庫は、国が100%出資する政府系の金融機関です。
民間の金融機関を補完する役割を担い、中小企業や個人事業主の支援を目的としています。
そのため、アパート経営も事業の一つとして捉え、民間の金融機関とは異なる視点で融資を検討してくれます。
特に、若者や女性、シニア層の起業支援にも積極的で、該当する場合には有利な融資制度を利用できる可能性があります。
金利は長期の全期間固定で、比較的低水準に設定されているため、安心して返済計画を立てられます。
ただし、融資額には上限があり、審査期間が比較的長い点には留意が必要です。
アパートローンの審査でチェックされる6つの重要項目
アパートローンの審査は、申込者自身の返済能力を問う住宅ローンとは異なり、アパート経営という「事業」に対する融資であるという側面が強くなります。
そのため、金融機関は貸し倒れリスクを避けるために、多角的な視点から厳しく審査を行います。
申込者個人の信用力はもちろんのこと、事業の主体となる物件の収益性や担保価値、そして事業計画の妥当性などが総合的に評価されます。
ここでは、審査の際に特に重視される6つの項目について解説します。
申込者の年収や職業の安定性
金融機関が審査でまず確認するのは、申込者の返済能力です。
アパート経営の家賃収入が主な返済原資となりますが、空室の発生などにより収入が不安定になるリスクも考慮されます。
そのため、給与所得など本業による安定した収入があることは、非常に重要な評価ポイントとなります。
特に、年収の金額だけでなく、勤務先の規模や業種、勤続年数といった職業の安定性も重視されます。
公務員や上場企業の社員など、安定性が高いと判断される職業は審査において有利に働く傾向があります。
申込時と完済時の年齢
申込時の年齢、そしてローンを完済するときの年齢も審査における重要な要素です。
多くの金融機関では、申込可能な年齢を「20歳以上65歳未満」、完済時年齢を「80歳未満」などと定めているケースが多いです。
申込時の年齢が若いほど、長期のローンを組むことができ、月々の返済負担を軽減できまる金融機関もあります。
一方、年齢が高くなると、定年退職による収入減少や健康上のリスクなどが懸念され、返済能力が低いと判断される可能性があります。
アパート経営は長期的な事業となるため、体力や判断力がある若いうちに始める方が審査上有利です。
物件の収益性や担保価値
アパートローンは事業性ローンであるため、融資対象となる物件そのものの評価が極めて重要です。
金融機関は、その物件が将来にわたって安定的に家賃収入を生み出せるかという「収益性」を厳しく審査します。
具体的には、立地条件、周辺の賃貸需要、競合物件の状況、建物の築年数や間取りなどが評価されます。
同時に、万が一返済が困難になった場合に備え、物件を売却して融資金を回収できるかという「担保価値」も重視されます。
土地の路線価や建物の法定耐用年数などを基に評価額が算出され、融資額の上限に影響します。
自己資金の割合や保有資産の状況
融資を申し込む際に、物件価格に対してどの程度の自己資金(頭金)を用意できるかは、金融機関の信頼を得る上で非常に重要です。
自己資金の割合が高いほど、金融機関が負う貸し倒れリスクが低減されるため、審査で高く評価されます。
一般的には物件価格の1割から2割以上の自己資金を用意することが望ましいとされています。
また、預貯金や株式、不動産といった申込者が保有する他の資産状況も審査の対象となります。
潤沢な金融資産があることは、不測の事態への対応能力が高いことの証明となり、審査を有利に進める要素となります。
住宅ローンなど他の借入状況
アパートローンを申し込む時点で、住宅ローンやカードローンなど他の借り入れがある場合、その内容も審査に影響します。
金融機関は「返済負担率」という指標を重視しており、これは年収に占めるすべてのローンの年間返済額の合計の割合を指します。
他の借り入れが多いと返済負担率が高くなり、新たなアパートローンの返済能力に懸念があると判断されかねません。
特に、住宅ローンを返済中の場合は、その返済額も考慮されるため注意が必要です。
審査を有利に進めるためには、可能な限り既存の借り入れを整理しておくことが望ましいです。
事業計画書の実現可能性と具体性
アパートローンの審査では、具体的な事業計画書の提出が不可欠です。
この計画書には、家賃設定の根拠、想定される空室率、年間収支のシミュレーション、将来的な修繕計画、そして資金調達と返済の計画などを詳細に記載します。
金融機関は、この計画書の内容から、申込者が事業リスクを正しく認識し、それに対する具体的な対策を立てているか、計画に実現可能性があるかを判断します。
周辺の市場調査に基づいた客観的なデータを用いて、説得力のある事業計画書を作成することが、融資承認を得るための鍵となります。
アパートローンを低金利で借りるための4つのコツ
アパートローンの適用金利は、金融機関が提示する基準金利から、申込者の信用力や物件の評価に応じて金利が引き下げられる優遇措置が取られるのが一般的です。
つまり、同じ金融機関でも、準備や交渉次第でより有利な条件を引き出すことが可能です。
金利が0.1%違うだけでも、総返済額には大きな差が生まれます。
ここでは、少しでも有利な条件で融資を受け、低金利でアパートローンを借りるための実践的な4つのコツを紹介します。
収益性の高い事業計画書を作成して交渉材料にする
金融機関が融資で最も懸念するのは、貸し倒れのリスクです。
したがって、返済が滞る可能性が低い、つまり「安全性の高い事業」であると判断してもらえれば、金利交渉は有利に進みます。
そのためには、客観的なデータに基づいた収益性の高い事業計画書を作成することが不可欠です。
周辺の家賃相場や空室率を徹底的に調査し、保守的なシミュレーションでも十分に利益が出ることを示します。
緻密な分析に裏付けられた実現可能性の高い計画は、金融機関に安心感を与え、優良な融資先として評価されることで、金利の引き下げにつながります。
複数の金融機関に相談して金利条件を比較する
アパートローンの金利や審査基準は金融機関によって千差万別です。
最初から一つの金融機関に絞るのではなく、必ず複数の金融機関に同時にアプローチし、それぞれの融資条件を比較検討することが重要です。
これにより、最も有利な条件を提示してくれた金融機関を選ぶことができます。
さらに、ある銀行から提示された金利条件を別の銀行に見せることで、「他行ではこの条件なのですが」と交渉の材料に使うことも有効です。
手間を惜しまずに複数の選択肢を持つことが、より低い金利を引き出すための基本戦略です。
頭金を多く用意して融資額を抑える
頭金を多く用意することは、低金利での融資を引き出す上で非常に効果的な方法です。
自己資金の割合が高ければ高いほど、金融機関の貸し倒れリスクは低減します。
例えば、物件価格の2割、3割と頭金を多く入れることで、金融機関からの信用度が上がり、金利の優遇を受けやすくなります。
また、借入額そのものが少なくなるため、月々の返済額が減るだけでなく、支払う利息の総額も大幅に削減することが可能です。
自己資金を準備することは、アパート経営に対する真剣な姿勢を示すことにもつながり、審査全体に良い影響を与えます。
良好な返済実績や経営実績をアピールする
過去に住宅ローンやカーローンなどを利用し、一度も遅延なく返済した実績がある場合、それは個人の信用力を証明する強力な材料となります。
金融機関は信用情報機関を通じて個人の返済履歴を確認するため、良好なクレジットヒストリーは審査でプラスに評価されます。
また、すでに別のアパートを経営しており、安定した収益を上げている実績があれば、その事業遂行能力を高く評価してもらえます。
確定申告書などの客観的な資料を提示して、堅実な経営を行っていることを具体的にアピールすることで、金融機関の信頼を得て、より良い金利条件を引き出すことが可能になります。
アパートローンの金利に関するよくある質問
アパートローンの利用を検討するにあたり、金利に関してさまざまな疑問が生じることがあります。
特に、住宅ローンとの違いや金利タイプの選択、頭金の必要性などは、多くの人が気になるポイントです。
ここでは、アパートローンの金利について頻繁に寄せられる質問を3つ取り上げ、それぞれの疑問に対して分かりやすく回答します。
ローン契約を結ぶ前にこれらの基本的な知識を整理しておくことで、より納得のいく判断ができるようになります。
アパートローンと住宅ローンの金利はどちらが低い?
一般的に、アパートローンの金利は、住宅ローンの金利よりも高く設定されています。
この違いは、ローンの性質に起因します。
住宅ローンは、契約者自身が住むための家の購入資金であり、給与収入などを返済原資とするため、金融機関にとってリスクが比較的低いと見なされます。
一方、アパートローンは賃貸経営という事業への融資であり、空室や家賃下落といった事業特有のリスクを伴います。
金融機関はこの事業リスクを金利に反映させるため、住宅ローンに比べて高い金利水準となるのが通常です。
変動金利と固定金利はどちらを選ぶべき?
変動金利と固定金利のどちらが最適かは、個人のリスク許容度や事業計画によって異なります。
変動金利は当初の金利が低いというメリットがありますが、将来の金利上昇リスクを自ら負うことになります。
金利が低いまま推移すれば返済総額は少なくなります。
一方、固定金利は金利変動の心配がなく返済計画が立てやすいという安心感が最大のメリットですが、借入時の金利は変動金利より高めです。
将来の金利上昇リスクをどれだけ受け入れられるか、また、キャッシュフローにどれだけ余裕があるかを考慮し、自身の経営スタイルに合ったタイプを選択することが重要です。
頭金なし(フルローン)でもアパートローンは組める?
頭金を全く用意せずに物件価格の全額を融資で賄うフルローンは、不可能ではありませんが、極めて難しいのが現実です。
金融機関は貸し倒れリスクを最小限に抑えたいと考えているため、フルローンを承認するには、申込者に非常に高い年収や優れた勤務先といった属性、あるいは物件に傑出した収益性があることなどを求めます。
フルローンは借入額が大きくなるため金利負担も重くなり、経営の安定性を損なうリスクも高まります。
健全なアパート経営のためには、少なくとも物件価格の1割以上の頭金を準備することが強く推奨されます。
まとめ
アパートローンの金利は、日本銀行の金融政策や国内外の経済情勢に影響を受け、変動します。
金利タイプには変動型と固定型があり、それぞれに異なる特徴とリスクが存在するため、自身の事業計画やリスク許容度に基づいた慎重な選択が求められます。
融資を受ける際の審査では、申込者の年収や資産状況といった個人の属性に加え、物件の収益性や担保価値、事業計画の実現可能性が総合的に評価されます。
より低い金利で融資を受けるためには、精緻な事業計画の準備、複数の金融機関との交渉、そして十分な自己資金の用意といった戦略的なアプローチが不可欠です。
最新の金利動向を常に把握し、入念な準備を行うことが、アパート経営を成功に導くための基礎となります。
新日本コンサルティングは、アパート経営に関する豊富な経験と専門知識を持ち、物件選びから資金調達、運営管理まで、アパート経営に関する総合的なサポートを提供しています。アパートローンの選び方や低金利での借り入れ方法についても、お客様一人ひとりの状況に応じた最適なプランをご提案いたします。アパート経営に興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。