
2020年に厚生労働省から副業や兼業に関するガイドラインが公表され、企業の中でも副業を認める動きが進みつつあります。
そんなサラリーマンの副業として、特に知られているのがマンション経営です。安定して家賃収入を得られる可能性があるため人気を集めていますが、マンション経営を成功させるためには初期投資や管理の手間など、考慮すべき点も多くあります。この記事では、サラリーマンがマンション経営を始める際のポイントやリスクについて、詳しく解説します。
目次
サラリーマンの副業として注目の「マンション経営」とは

マンション経営とは、不動産所得を得るための投資手法の一つです。マンションを購入または新築し、賃貸することで家賃収入を得ます。マンションは1部屋単位で運用したり、1棟すべてを所有して経営したりできます。
マンション経営は物件を建てた後に管理業務が発生しますが、やり方によっては管理の手間を抑えられることが特徴です。そのため、本業があるサラリーマンも挑戦できる副業として注目を集めています。マンション経営は不動産投資ローンを借りて購入資金を確保するのが一般的ですが、安定した収入のあるサラリーマンはローンの審査で有利になる可能性があります。
ただし、勤め先の会社によっては就業規則で副業を禁止している場合があります。マンション経営も副業に該当しますので、事前に確認が必要です。公務員の場合は特に厳しい規則が設けられているので、注意しましょう。
サラリーマンがマンション経営を行うメリット

マンション経営には、サラリーマンにとって魅力的なメリットがいくつかあります。主なメリットは以下の3つです。
- 不動産収入による資産形成ができる
- 生命保険の代わりになる
- 税金対策になる
不動産収入による資産形成ができる
マンション経営のメリットは、不動産所得による資産形成が可能なことです。入居者がいれば、毎月安定した家賃収入を得られます。
マンション経営は、入居者が住み続けてくれれば家賃収入が発生し続けます。したがって、老後に向けた資産運用として有効です。給与所得に頼るだけでなく、マンション経営による収入源を持つことで、より充実した将来設計が可能になるでしょう。
生命保険の代わりになる
マンション経営を始める際、多くの人が不動産投資ローンを利用することになります。このとき、通常は団体信用生命保険への加入が必要になります。この保険は、債務者に万一のことがあった場合に、残りの返済が免除される仕組みです。
つまり、生命保険としての役割も果たしていると言えます。万が一の際には、残された家族がマンションの経営を引き継げます。あるいは、マンションを売却してまとまった資金を得ることも可能です。したがって、マンション経営は家族の将来に対する保障としての側面も持ち合わせています。
税金対策になる
マンション経営は税金対策としても効果的です。具体的には相続税対策に効果を発揮します。マンションのような賃貸物件は、相続時の評価額が現金と比べて低くなる傾向があります。そのため、同じくらいの価値であれば、現金を相続するよりも賃貸マンションとして相続するほうが、相続税を抑えられる可能性が高くなるのです。
また、マンション経営が赤字になった場合、その損失を給与所得と損益通算できるというメリットもあります。これにより、合計の課税対象となる所得金額が減少し、所得税や住民税の負担を抑えられる可能性があります。
サラリーマンがマンション経営を行うデメリット
マンション経営には魅力的なメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。主なデメリットは以下の2つです。
- 初期費用や維持費がかかる
- 管理の手間がかかる
初期費用や維持費がかかる
マンション経営のデメリットの一つは、初期費用や維持費など、必要な投資額が大きいことです。マンションを購入する際に、多額の資金が必要になります。ローンを利用する場合でも、通常は物件取得価格の1~3割程度の頭金が必要です。
また、マンションを運営する最中でもさまざまな費用が発生します。具体的には、修繕費、水道光熱費、管理委託料などが挙げられます。加えて、不動産そのものに課せられる固定資産税や都市計画税などの負担もあります。
管理の手間がかかる
マンション経営を安定させるためには、適切な管理が欠かせません。具体的には入居者対応、共用部の清掃、設備のメンテナンスなどを行います。こうした作業はマンションの価値を保ち、入居者が安全かつ長く住んでもらうために必要な業務です。
入居者募集や契約更新、家賃の集金などは定期的に発生する業務です。入居者からの緊急の連絡や修繕依頼など、予期せぬタイミングで突然発生する業務もあります。
こうした作業は時間と労力を要するものです。本業のあるサラリーマンがこうした管理業務を全て対応するのは相当な負担になります。したがって、不動産管理会社に管理業務の全部、または一部を委託するケースが多いです。
サラリーマンがマンション経営を成功させるポイント
サラリーマンがマンション経営で成功するには、いくつかの重要なポイントがあります。
- 需要の見込める物件を選ぶ
- 中長期で経営計画を立てる
- 不動産管理会社を活用する
- 専門家に相談する
ここからは、成功の鍵となる4つのポイントについて詳しく見ていきましょう。
需要の見込める物件を選ぶ
マンション経営を成功させるためにはまず、需要の見込める物件を選ぶことが大切です。安定した入居率を維持するためにも、入居者にとって魅力的な物件を選びましょう。
物件選びで重要なのは、まず立地条件です。駅やバス停からの距離、生活に必要なスーパーマーケットやコンビニエンスストアの充実度、治安の良さなどが判断基準となります。また、その地域の賃貸需要の動向や将来性も考慮する必要があります。
物件選びの際はなるべく現地を訪ね、周辺環境を自分の目で確かめるようにしましょう。
次に、物件自体の魅力も重要です。間取りや広さ、設備の充実度、建物の築年数などが入居者の決め手になります。物件のある場所で見込まれる賃貸ニーズと一致する設備や間取りの物件を選びましょう。
中長期で経営計画を立てる
マンション経営は、短期的に大きな利益を得ることは難しく、中長期のリターンを狙う投資方法です。したがって中長期的な視点での経営計画が求められます。中長期で安定した経営を続けることで、リターンが増えていきます。
経営計画で特に大切なのはローンの返済計画です。不動産投資ローンの返済期間は最長で35年と長期にわたります。そのため、無理のない返済計画を立てることが重要です。
また、物件の価値を維持・向上させるための修繕計画も必要です。マンションは経年劣化していくため、定期的な修繕や設備の更新が必要になります。これらの費用を計画的に積み立てておくことで、大規模修繕に備えられます。
そして、出口戦略を考えることも重要です。ローン返済が終わった後にマンションを売却するのか、あるいは継続して賃貸経営を行うのか、自身が亡くなった後に相続させるのかなど、将来の選択肢も考えておきましょう。
不動産管理会社を活用する
サラリーマンがマンション経営を行う場合、不動産管理会社に管理業務を委託するのが望ましいでしょう。管理会社には入居者の募集や家賃回収、トラブル対応、修繕などの管理業務を任せられます。したがって、管理会社に業務を委託すれば本業が忙しい人でも、一定の管理品質を保てます。
管理会社を選ぶ際は、管理委託料や提供されるサービスの内容、対応の迅速さなどが比較基準になります。
専門家に相談する
マンション経営には専門的な知識や経験が必要になります。自分で勉強したり、情報を集めたりすることも大切ですが、なにより重要なのは専門家に頼ることです。
例えば、不動産会社には物件選びや資金計画の相談ができます。税理士には、確定申告や節税方法について助言を求めることができるでしょう。また弁護士には、契約書の確認や法的トラブルの対応について相談できます。
こうした専門家の知見を借りつつマンション経営を行うことで、リスクを最小限に抑えながら成功に近づけるでしょう。信頼できる専門家を見つけ、長期的な関係を構築することが、マンション経営成功の鍵と言えます。
押さえておきたいマンション経営のリスク
マンション経営を成功させるには、想定されるリスクを把握し、事前に対処する必要があります。ここでは、サラリーマンがマンション経営を行う際に特に注意すべき以下5つのリスクとその対処法について解説します。
- 空室の発生
- 家賃の滞納
- マンションの価値下落
- 災害の発生
- 金利の上昇
空室の発生
空室が発生することは、マンション経営におけるリスクの一つです。空室から家賃は徴収できないため、空室が増えれば家賃収入が減少します。つまり、空室リスクへの対処は経営を安定させるために重要なのです。
空室リスクを軽減するには、まず一定の需要が見込めるエリアで物件を選ぶことが重要になります。また、入居者に喜ばれる設備を備えて所有するマンションの魅力を高めるのも効果的です。無料で使えるインターネットや防音設備、セキュリティシステムの導入といった設備面を強化すると、より競合物件に対する競争力を高められるでしょう。
また、所有する物件や部屋の数を増やし、収益を分散させることも有効な対策の1つです。マンション経営を一定期間続けてある程度ノウハウが貯まったタイミングで、別の物件を購入するオーナーもいます。
家賃の滞納
部屋が埋まっても、入居者が家賃を支払ってくれなければ収入は得られません。家賃の遅延や未払いは深刻な資金繰りの問題を引き起こします。
家賃滞納のリスクを回避するためには、まず入居前の審査を徹底することが基本です。入居希望者の収入証明書を確認したり、信頼できる連帯保証人を設定したりすることで、リスクを抑えられます。また家賃保証会社を利用するのも有効です。家賃保証会社とは、家賃が払えなくなった入居者に代わって家賃を立て替え払いしてくれる会社で、もし滞納が発生しても安定した収入を確保できます。
マンションの価値下落
マンションは形がある資産なので、どうしても経年劣化が起こります。経年劣化が起こるとマンションそのものの価値が下がるほか、入居者にも選ばれにくくなってしまいます。
こうした事態を防ぐには、計画的な修繕や設備の更新を行い、マンションの状態を常に良好に保つことが必要です。外壁の修繕や共有部分のリノベーション、エレベーターの安全点検など、細部にわたるメンテナンスが求められます。
一方で、不動産市場の動向を把握し、価格の変動を見極めながら物件の売却や買い替えを検討することも戦略の一つです。
災害の発生
地震や台風などの自然災害で物件が被害を受けると、修繕費用が発生します。賃貸マンションの修繕は入居者ではなくオーナー負担(※)になるので、大きな出費になりかねません。
被災による修繕費用の負担や家賃収入の減少を防ぐためには、災害リスクへの備えが必要です。火災保険や地震保険に加入し、災害時の経済的損失をカバーする体制を整えておきます。自然災害は避けられないリスクですが、事前の準備でその影響を大幅に軽減できます。
※入居者の故意過失による損失を除く
金利の上昇
変動金利型の不動産投資ローンを利用している場合、金利が上昇すると、ローンの利息額が増加し、マンション経営の収支計画に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
こうしたリスクに対処するためには、固定金利のローンを選択することが有効です。変動金利のローンよりも返済初期の金利は高めなものの返済額が固定されるため、長期的に安定した返済計画を立てることが可能になります。また、変動金利を選択する場合であっても金利上昇を見込んだ余裕のある資金計画を立てることが、経営の安定性を高める上で大切です。
さらに、繰り上げ返済を積極的に行い、借入残高を減らすことで金利上昇の影響を軽減する方法も効果的です。金融市場の動向を注視し、必要に応じてローンを借り換える戦略もあります。
サラリーマンがマンション経営を成功させるには管理業務が肝心
マンション経営はサラリーマンにとって資産形成や老後の収入源として魅力的な選択肢です。ただし、成功するには、事業としての計画性と継続的な努力が欠かせません。
サラリーマンがマンション経営を成功させるためには大切な要素がいくつもありますが、時間と手間を抑えつつ管理を行うかが重要になってきます。したがって不動産管理会社をいかに活用するかがポイントと言えるでしょう。管理会社は本業と両立しながら収益を上げるための強力なパートナーとなるはずです。
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