
「本業で収入を得ながら、将来に向けた資産形成にも取り組みたい」。そのように考えている人のなかにはマンション経営を検討している人もいるかもしれません。しかし、マンション経営に興味はあっても、「本業に影響しないか」「会社の規定に違反しないか」と心配になる人もいるでしょう。
この記事では、副業でマンション経営を成功させるためのポイントや知っておきたい注意点などを解説します。
目次
サラリーマンのマンション経営は副業としてみなされる?

働き方改革の影響もあり、副業や兼業を認める企業が増えている傾向にあります。では、サラリーマンがマンション経営をすると、副業とみなされるのでしょうか。
原則として副業とはみなされにくい
マンション経営は、一般的に副業とはみなされにくい傾向にあります。その理由は、マンション経営で得る収入は不動産所得の一種であり、労働の対価ではないためです。多くの場合、マンション経営は資産運用の一環として捉えられ、給与所得とは別の所得区分となります。
ただし、管理業務に多くの時間を割いている場合など、勤務先が「業務に支障が出る」と判断すれば副業とみなされる可能性があります。頻繁に物件の管理や入居者対応に時間を取られ、結果的に本業に専念できない状況が続くと、勤務先から副業としてみなされやすいです。
就業規則によっては副業扱いとなる
マンション経営が副業扱いかどうかは、会社の就業規則によります。就業規則で「不動産賃貸業を副業とする」と明確に定められている場合は、マンション経営を行う前に所属する会社へ届け出た上で許可を得る必要があります。会社によっては、「一定の収益規模を超える場合」や「自ら管理業務を行う場合」など、副業扱いとする具体的な基準設けていることがあるため、事前に確認しましょう。
規模が大きくなると副業扱いされる可能性がある
マンション経営の規模が拡大すると、副業扱いされる可能性が高くなります。税務上の基準として、「独立した室数が10室以上」または「独立家屋が5棟以上」の場合、事業的規模と判断されることがあります。事業的規模と認定されると青色申告の優遇制度が適用されるといったメリットがある一方で副業と見なされやすく、会社の就業規則上「営利目的の副業」として制限される可能性も高まります。
青色申告を行うと、最大65万円の青色申告特別控除が受けられたり、損失の繰越控除が可能になったりするなど、税金の圧縮が期待できます。しかし同時に、事業所得として認定されることで、勤務先の就業規則に抵触する可能性も高くなるというわけです。
【出典】国税庁:No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分
公務員のマンション経営は副業としてみなされる?
公務員の副業に関しては、一般のサラリーマンとは異なる規制があります。公務員の場合、マンション経営はどのように扱われるのでしょうか。
公務員は原則として副業が禁止
公務員の副業については、国家公務員法・地方公務員法によって自営の禁止が、人事院規則で自営の判断基準が定められています。公務員は原則として「営利企業の経営」が禁止されているため、マンション経営が営利企業の経営に該当していると判断されると、副業禁止規定に抵触する可能性が高くなります。
例えば、複数の物件を所有し、自ら入居者の募集や家賃の徴収、建物の管理を行っているような場合は、営利企業の経営に該当すると判断されやすいです。したがって、経営規模や関与の仕方はサラリーマン以上に気を遣う必要があると言えるでしょう。
例外として認められるケースもある
ただし、特定の条件下では、公務員のマンション経営が例外的に認められるケースもあります。
例えば親からの相続など、やむを得ない事情で物件を所有することになった場合は、事前に所属機関の許可を得れば賃貸業を続けられるケースがあります。また、経営に積極的に関与せず、単なる家賃収入を得る形態であれば、副業に該当しないと判断される可能性もあります。具体的には、不動産会社に管理を全面的に委託し、自らは家賃の受け取りのみを行うような場合です。
副業でマンション経営を行うメリット

マンション経営を副業として行うと、いくつかのメリットがあります。具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。
- 継続して収入を確保できる
- 本業との両立を図りやすい
- 生命保険の代わりになる
継続して収入を確保できる
マンション経営の大きな魅力の一つは、継続的かつ安定した収入が期待できる点です。毎月の家賃収入は、給与所得とは別の不動産所得として安定した収入源となります。また、不動産投資ローンを完済した後は、家賃収入の多くが純粋な利益となり、老後の生活資金としても活用できるでしょう。このように、リスク管理を徹底した上で取り組めば、マンション経営は資産形成と将来の経済的安定を目指すための有効な手段となり得ます。
本業との両立を図りやすい
マンション経営の大きな利点として、本業との両立が比較的容易である点が挙げられます。マンション経営を行う際の業務をすべて管理会社に委託することで、オーナー自身が実務を行う必要がなくなります。これにより、本業に集中しながら、別の収入源を確保することが可能になります。
具体的には、共用部分の清掃や修繕、家賃の回収やクレーム対応、入居者の募集などの日常的な管理業務を委託管理会社に任せることができます。入居者からの緊急の修繕依頼や、家賃滞納者への対応なども管理会社が代行してくれるため、本業の勤務時間中でも対応に追われる心配がありません。
生命保険の代わりになる
賃貸マンションの購入時にローンを組む場合は、団体信用生命保険(団信)への加入が必要になります。この団体信用生命保険が生命保険に近い役割を果たしてくれます。団体信用生命保険は、万が一債務者が死亡または高度の障害状態になった場合に、残りのローン債務を保険金で返済する保険です。
この制度により、もし返済途中で債務者が亡くなってしまっても、ローンの残債がなくなった状態のマンションを遺族に残すことができます。また、マンションに入居者がいれば家賃収入はそのまま遺族に入ってきます。つまり、マンション経営は資産形成だけでなく、家族の将来の経済的安定を確保する手段としても機能するのです。
副業としてマンション経営を行う際の注意点
マンション経営を副業として行う際には、知っておきたい注意点がいくつかあります。実際に経営を始める前に、必ず押さえておきましょう。
事業的規模での運用の際は事前に許可を取る必要がある
もしサラリーマンが事業的規模でマンション経営を行うのなら、必ず勤務先で許可を取るようにしましょう。マンション経営が事業的規模と判断された場合、サラリーマンは就業規則に基づき運営を制限される可能性があるからです。もし事前の許可を得ていなければ、就業規則違反で懲戒処分の対象となるおそれもあります。また、就業規則に具体的な定めがなくても、会社の判断によって副業とみなされる可能性もあります。事前に人事部門に相談して許可を得るようにしましょう。
また公務員の場合は、国家公務員法や地方公務員法により、原則として営利企業の経営への関与が禁止されています。マンション経営も営利活動に該当する可能性があるため、無断で行えば法令違反として懲戒処分の対象となることもあります。例外として認められるケースでマンション経営を行う場合でも、必ず事前に所属機関に相談して承認を得るようにしましょう。
管理コストや管理業務の負担がかかる
マンション経営は、管理方法によってコストや業務負担が大きく異なります。自己管理をすれば費用負担を減らせますが、その分、修繕や清掃の対応、入居者とのコミュニケーションなどの業務が発生します。こうした業務は迅速に行う必要のあるものも多いです。また、依頼内容によっては深夜に対応が求められることもあります。これらの対応を自身で行う場合、本業に支障をきたす可能性が高いです。したがって、副業としてマンション経営を行う場合はこうした管理業務に多くの時間を割くことは現実的ではありません。
管理会社に委託すると、管理委託費という形で費用がかかりますが、業務負担を減らすことができます。
専門業者による対応はトラブル発生時の初動も早く、法的な知識や入居者対応のノウハウもあるため、オーナー自身が直接対応するよりもスムーズに問題を解決しやすいメリットもあります。
マンション経営を成功させるためのポイント
マンション経営を副業として成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、その主なポイントについて見ていきましょう。具体的には以下のようなポイントが挙げられます。
- マンション経営について理解する
- 長期的な視点で資金計画を立てておく
- 立地の良い物件を選ぶ
- 信頼できるパートナーを見つける
マンション経営について理解する
マンション経営は管理会社に日常的な管理業務を任せられますが、経営判断をするのはあくまでオーナーの役目です。管理会社に意見を求めることもできますが、的確な判断をするには一定の知識が必要になります。
例えば、マンション経営の仕組みや利回りの計算方法、関連する税金などの基礎知識はあったほうが良いでしょう。また、不動産市場の動向や、物件の価値を左右する要因についても理解しておく必要があります。こうした知識があれば物件選びや家賃設定、修繕計画の立案など、経営に関する判断を適切に行いやすくなります。
長期的な視点で資金計画を立てておく
マンション経営を始める際は、購入資金だけでなく、長期的な視点での資金計画が不可欠です。運用に必要となる管理費や修繕積立金、さらにはリスクに備えた蓄えなども見込んだ資金計画を立てておくことが大切になってきます。
資金計画には月々のローン返済額に加えて、管理費や修繕積立金、固定資産税などの経費を考慮する必要があります。また、空室の発生や急な修繕に備えた資金も確保しておくのが望ましいです。加えて10年後、20年後を見据えた大規模修繕の費用なども考慮に入れる必要があります。
立地の良い物件を選ぶ
物件の立地は、入居率や家賃収入に大きな影響を与えます。一般的に、人口が少ない地域に建っている物件よりも、人口が集中した利便性の高いエリアにある物件のほうが人気が出やすいです。最寄り駅や繁華街から近く、通勤・通学や買い物にも便利な立地の物件を選ぶことが、安定した入居率を維持するポイントとなります。
例えば、駅から徒歩10分以内の物件や、スーパーマーケットやコンビニエンスストアが近くにある物件に魅力を感じる人は多いです。また、大学や大企業の近くにある物件も、安定した需要が見込めます。
立地の良さは、空室リスクを低減し、長期的な収益性を高めることにつながります。物件選びの際は、周辺の家賃相場や将来的な開発計画なども考慮に入れ、慎重に検討することが重要です。
信頼できるパートナーを見つける
マンション経営を成功させるためには、物件や入居者の管理などの業務を信頼できる会社に依頼することが重要です。したがって、マンション経営に関係する多くの業務を任せるパートナー選びは慎重に行う必要があります。
信頼できる管理会社は、入居者が減らないように効果的な宣伝や対策を行ってくれます。空室が出た際の迅速な募集活動や、適切な家賃設定のアドバイス、定期的な物件のメンテナンスなどを行ってくれる会社を選びましょう。また、入居者とのトラブル対応や、緊急時に迅速な対応ができる体制を整えている会社であることも重要です。信頼できるパートナーが見つかれば、オーナーの負担を軽減しつつ、安定した運営を行うことができます。
副業としてのマンション経営は慎重な判断と準備がカギ
今回は、マンション経営を副業として行えるかどうかについて解説しました。マンション経営を行うにあたって、サラリーマンなら就業規則、公務員なら関係法令に違反しないよう、事前に必要な確認や手続きを行うことが不可欠です。
しかし、マンション経営は安定した副収入を得られる可能性があり、ほかにも多くのメリットがあります。不労所得に興味がある人は副業としてマンション経営を始めてみるのを検討してはいかがでしょうか。
新日本コンサルティングは、マンション経営に関する豊富な経験と専門知識を持ち、物件選びから運営管理まで、マンション経営に関する総合的なサポートを提供しています。マンション経営に興味のある方は、ぜひ気軽にお問い合わせください。