新築マンション投資のメリット・デメリット|「やめとけ」と言われる真意

公開日:2025年12月14日
最終更新日:2025年12月14日

「将来の年金問題対策になる」「節税効果がある」「生命保険代わりになる」というような情報から、新築マンション投資に興味を持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、将来への不安が叫ばれる昨今において、現物資産である不動産を持つことは一つの有効な手段となり得ます。
一方で、インターネットで検索すると「新築マンション投資はやめとけ」「大損する」「詐欺まがいだ」といった強烈なネガティブワードも散見され、情報の真偽に迷われているかもしれません。

本記事では、2025年の最新市況や金利動向を踏まえ、なぜネガティブな意見が存在するのか、その構造的な理由とリスクの所在、そして検討する際に確認すべき客観的な判断基準を徹底的に解説します。感情論ではなく、数字と論理に基づいた事実を知ることで、冷静な投資判断の一助となれば幸いです。

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目次

新築マンション投資の基本|「区分」と「一棟」の違い

一般的に「新築マンション投資」という言葉が使われる際、新築マンションの1室を購入する「新築区分マンション投資(ワンルームマンション投資など)」を指す場合が多いですが、新築マンション一棟まるごとを購入する「新築一棟マンション投資」を指す場合もあります。
これらは単に投資規模が違うだけでなく、資産としての性質、リスクの所在、融資の仕組み、そして出口戦略に至るまで、大きく異なります。
まずは、投資対象としての「区分(1部屋単位)」と「一棟(建物まるごと)」の違いを正しく理解することが、賢明な投資判断への第一歩です。

物件価格と土地の権利形態の違い|数千万円 / 所有権一部 OR 数億円 / 土地所有

「新築区分マンション投資」は、新築マンションの1室単位で購入するスタイルであり、価格帯はエリアや広さにもよりますが、3,000万円〜4,000万円程度が近年の相場です。
ただし、新築区分マンションはその立地(ブランドエリアなど)が価格に強く影響し、港区や千代田区などの超一等地であれば、ワンルームであっても5,000万円、あるいは1億円を超える物件も珍しくなくなってきました。
区分投資の最大の特徴にして注意点は、土地の権利が「敷地権(共有持分)」となる点です。
マンションの敷地全体を、数十、数百人の所有者(区分所有者)全員で共有する形となるため、土地に対する所有権は極めて小さくなります。そのため、ご自身の意思だけで建替えを行ったり、土地として売却したりすることは事実上不可能です。建物が経年劣化したとき、土地の価値で資産を担保することが難しいという側面があります。

一方、「新築一棟マンション投資」は、土地と建物のすべてを単独で所有します。価格は数億円規模となり、土地と建物のすべてに対する決定権をご自身が持つことになります。
資産価値の観点で見ると、区分マンションは購入価格に占める「建物」の割合が比較的高く、一棟マンションは「土地」の割合が比較的高い資産であると言えます。建物は経年により価値が減少しますが、土地は市況による変動はあるものの、価値が残り続ける傾向にあります

リスクの構造比較|空室リスクの分散性

不動産投資における最大のリスクである「空室リスク(家賃収入が途絶えるリスク)」に対する耐性も、両者では大きく異なります。
区分マンションの場合、保有している投資対象は「1つの部屋」のみです。そのため、その部屋に入居者がいれば収入は100%ですが、退去してしまえば家賃収入は完全に「ゼロ」になります(0か100かのリスク)。
収入がゼロであっても、銀行へのローン返済や管理費・修繕積立金の支払いは毎月定額で発生し続けます。つまり、空室期間中はこれら全ての支払いを、ご自身の給与や貯蓄から持ち出し(補填)を行わなければなりません。特に、入居者募集に時間がかかる閑散期などに退去が発生すると、数ヶ月分の持ち出しが発生し、家計を圧迫するリスクがあります。

対して一棟投資の場合、例えば10部屋あるアパートやマンションであれば、1部屋が退去したとしても、残り9部屋からの家賃収入が継続します。全体の収入が10分の9になるだけであり、ゼロにはなりません。
多くの場合、この残りの収入で毎月のローン返済や諸経費を十分にカバーできるケースが多いため、空室が発生しても手元の資金を持ち出す事態には陥りにくいという強みがあります。この「空室リスクの分散効果」は、事業として安定経営を目指す上で非常に重要な要素となります。

年収や資産背景による「向き・不向き」

新築区分マンション投資は、数千万円という不動産投資の中では比較的少額の借入で始められるため、年収500万円〜700万円前後の方でも融資が通りやすい傾向にあります。
そのため、多くの会社員や公務員の方が検討しやすいですが、後述するようにキャッシュフロー(手残り利益)が出にくい構造のため、投資としての純粋なリターンよりも、「社会的信用(与信枠)を使った資産形成のきっかけ作り」や「本業の給与所得と損益通算することによる短期的な税金対策」という意味合いが強くなります。

一方で一棟投資は、数億円規模の融資を受ける必要があるため、銀行の審査基準も上がります。年収1000万円〜1500万円以上、あるいは数千万円単位の金融資産(自己資金)が求められることが一般的です。
ハードルは高いですが、毎月のキャッシュフローを数十万円単位で確保し、将来的に専業大家を目指したり、資産規模を数億円、数十億円へと拡大していきたい方に向いています。

「新築マンション投資」3つのメリット

新築マンション投資には、他の投資手法にはない特有のメリットが確かに存在します。
特に「新築区分マンション投資」は、本業が多忙で投資に手間や時間をかけたくない方や、不動産の専門知識がない中でまずは第一歩を踏み出したい方にとっては、「手軽さ」や「心理的な安全性」が魅力的に映る側面もあります。
ここでは、多くの投資家が新築マンションを選ぶ主な理由として、運用開始直後のリスクの低さや金融面での恩恵に焦点を当てた3つのメリットを詳しく解説します。

メリット1:「新築ブランド」で、初期の空室期間が抑えられる

日本における賃貸市場では、「新築」というブランド力は強力です。
「誰も住んでいない、まっさらな新しい部屋に住みたい」「水回りは新品が良い」というニーズは根強く、最新の設備(オートロック、宅配ボックス、浴室乾燥機、高速インターネットなど)や洗練されたデザインが導入されている新築マンションは、近隣の競合物件に対して競争力があります。
そのため、購入直後の入居者募集(客付け)に苦労することは少なく、建物が完成すると同時、あるいは完成前の図面段階から入居申し込みが入り、満室稼働でスタートできることも珍しくありません。
投資を始めた初期段階において、「すぐに家賃収入が入ってくる」「空室の心配をしなくていい」という安心感は、特に初心者の方にとっては大きな精神的メリットと言えるでしょう。
ただし、この「新築プレミアム」による強力な集客力は、最初の入居者が退去した瞬間に「中古」となり、効果が薄れる(家賃相場が周辺の中古物件と同等になる可能性がある)という点には注意が必要です。

メリット2:修繕リスクが極めて低く、突発的な出費が少ない

不動産投資における予期せぬリスクの一つが、設備の故障や建物の不具合による突発的な出費です。
中古物件、特に築20年以上の物件を購入した場合、購入直後に給湯器が壊れて10万円、エアコンの交換で数万円、あるいは配管の水漏れ修理が必要になったりと、修繕費用が発生するリスクが常に付きまといます。
一方、新築マンションであれば、建物も設備もすべてが新品であるため、購入後10年程度は大規模な修繕が必要になる可能性は極めて低いです。
また、法律面での保護も手厚く、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、構造耐力上主要な部分(柱や梁など)や雨水の浸入を防止する部分については、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任(契約不適合責任)が売主である不動産会社に義務付けられています。
室内のエアコンや給湯器などの設備に関しても、通常1〜2年、長いものでは5年程度のメーカー保証がついているため、初期段階でのランニングコストが予測しやすく、予期せぬ出費に慌てることがない点は、計画的な資産運用という観点で大きなメリットです。

メリット3:「融資期間」や「金利」が優遇されやすい

銀行などの金融機関が融資の審査を行う際、借りる人の属性(年収や勤務先)と同じくらい重視するのが「物件の担保価値」と「建物の法定耐用年数」です。
鉄筋コンクリート造(RC造)の法定耐用年数は47年と定められていますが、銀行の融資期間はこの「耐用年数の残り期間(残存年数)」を基準に設定されることが一般的です。
新築であれば、47年という期間をフルに使って、最長35年、場合によっては45年といった超長期のローンを組むことが可能です。
融資期間が長くなればなるほど、毎月の元本返済額を小さく抑えることができるため、月々のキャッシュフロー(収支)のバランスを整えやすくなります。
また、販売デベロッパーが銀行と提携している「提携ローン」を利用できるケースも多く、一般の店頭金利よりも優遇された低金利(1%台〜2%前半など)で融資を受けられる可能性があるのも新築の特権です。
中古物件の場合、耐用年数切れを理由に融資期間が長く設定できない、金利が比較的上がる、あるいは物件価格の2〜3割の自己資金(頭金)を求められるケースもありますが、新築ではフルローンに近い形での融資が引きやすく、手元資金を温存しながら始められるという特徴があります。

新築マンション投資が「やめとけ」と言われる3つの構造的理由

これらのメリットがあるにもかかわらず、なぜ「新築マンション投資はやめとけ」と言われることがあるのでしょうか。
その背景には、単なる感情論や失敗談ではなく、新築物件が抱える「利益が出にくい構造的な仕組み」が存在します。
特に、一棟投資と比較して土地の持分が少ないワンルームなどの「区分マンション投資」においては、この構造的な課題が顕著に表れやすいため、そのリスクの本質を正しく理解しておくことが重要です。

理由1:新築プレミアムの崩壊|購入直後から資産価値が2〜3割下落する

新築マンションの販売価格は、純粋な「土地代」と「建築費」だけで構成されているわけではありません。
そこには、デベロッパー(開発業者)の利益はもちろん、モデルルームの建設費、豪華なパンフレット、テレビCMやWeb広告などの多額の広告宣伝費、そして多数の営業マンの人件費といった「販売経費」が多額に含まれています。
これら原価以外のコストと利益を総称して、一般的に「新築プレミアム」と呼びます。物件価格の2割〜3割程度がこのプレミアムに相当するとも言われています。

問題なのは、物件を購入し、一度でも誰かが入居すると、その瞬間に市場では「中古物件」として扱われるという点です。
中古市場における価格形成は、原価の積み上げではなく、「収益性(どれくらい家賃が取れるか)」や「近隣の取引事例」に基づいてシビアに評価されます。
そのため、中古市場に出した瞬間、新築時の価格に含まれていた「広告費や業者の利益」といったプレミアム分が評価額から剥がれ落ち、価格がガクンと下落します。これが「新築を買った瞬間に資産価値が2〜3割下がる」と言われる理由です。
購入価格と、実勢価格(売れる値段)の間に最初から大きな乖離(含み損)が生じるため、このマイナスを家賃収入で回収するには相応の期間が必要となり、短期的な転売では損をする確率が高い構造となっています。

理由2:表面利回りの低さと「毎月手出し(赤字)」の常態化

不動産投資の収益力を測る指標の一つに「表面利回り(年間家賃収入÷物件価格)」がありますが、都心の新築ワンルームマンションでは、この表面利回りが2%台〜4%前半程度と非常に低くなっています。
ここから、管理代行手数料、建物管理費、修繕積立金、固定資産税といった運営経費を差し引いた「実質利回り」はさらに低くなり、1%台〜3%程度になることも珍しくありません。
さらに、ここから銀行へのローン返済(元本+金利)を行う必要があります。
その結果、毎月の収支がプラスマイナスゼロ、あるいは「毎月1万円〜2万円の赤字(手出し)」が常態化するケースもあります。
「毎月たった1万円の積立で数千万円の資産が持てる」という考え方もありますが、投資の「利益を得る」という観点からは慎重な判断が必要です。
さらに将来的な修繕積立金の値上げや、空室発生時の負担増を考慮すると、この手出し額が年々増加していくリスクも十分に想定しておく必要があります。

理由3:節税効果が高いのは初年度だけ?節税効果は「薄く長い」

「不動産投資による節税効果」は魅力の一つとして語られますが、その仕組みと効果が続く期間については正しく理解する必要があります。
確かに、物件を購入した初年度は、登記費用、ローン事務手数料、不動産取得税といった一時的な諸経費を多額に計上できるため、不動産所得が大きな赤字になります。この赤字を給与所得と相殺(損益通算)することで、課税所得が減り、確定申告によって所得税・住民税が減額されるケースは多いです。

しかし、2年目以降はそれらの初期費用がなくなり、経費として計上できるのは主に「減価償却費」「借入金の利息部分」「管理費等の実費」に限られます。
ここで重要になるのが「減価償却費」です。建物の構造によって減価償却できる期間(耐用年数)が決まっており、新築のRC造マンションは47年かけてゆっくりと経費化していくことになります。
木造築古物件のように短期間(4年など)で大きく経費計上する手法とは異なり、新築マンションは単年度で計上できる減価償却費が小さく限られています。
そのため、2年目以降は不動産所得の赤字幅が縮小し、場合によっては逆に納税が必要になることもあります。「節税効果はずっと続くわけではない」という現実を知らずに購入すると、2年目以降に驚くことになります。

新築マンション投資で後悔する典型的な失敗パターン

投資判断において、前提条件の認識のズレが将来的な後悔につながるケースがあります。
ここでは、実際によくある誤認や見落としがちなポイントについて、具体的な失敗パターンとして解説します。
これらは、新築マンション投資特有の仕組みを十分に理解しないままスタートしてしまった場合に起こりうる現象です。

パターン1:「毎月数万円の手出しなら保険代わり」と考え購入、累積赤字に苦しむ

「団体信用生命保険(団信)への加入により、万が一の際にローンがなくなり家族にマンションを残せるため、毎月の手出しは保険料代わりになる」という考え方があります。
確かに団信は強力なメリットであり、生命保険としての機能を持つことは事実です。しかし、コストの「固定性」と「総額」については冷静な比較が必要です。
一般的な生命保険(収入保障保険や定期保険)であれば、保険料は契約期間中一定であり、数千円程度で数千万円の保障を得ることも可能です。
一方、不動産投資における「実質的な手出し額」は変動し、将来的に拡大するリスクがあります。
新築時の家賃は相場より高めに設定されていますが、建物が古くなれば家賃は徐々に下落していきます。一方で、管理費や修繕積立金は、建物の維持管理計画に基づき、5年、10年といったスパンで値上げされることが一般的です。
「家賃収入の減少」と「経費の増加」のダブルパンチにより、当初は月1万円の手出しで済んでいたものが、10年後には月3万円、4万円と負担が増加していく可能性があります。
結果として、「保険料相当額」としてはあまりに高額なコストを払い続けることになり、家計を圧迫し、最悪の場合は支払いが困難になって手放さざるを得ない状況に陥るリスクを含んでいることを理解しておく必要があります。

パターン2:節税目的で購入したが、数年後の売却で数百万円のキャピタルロス

「最初の数年は節税して、5年くらい経ったら売却すればいい」と考え、出口戦略(売却)を甘く見積もってしまうケースも典型的です。
前述した通り、新築マンションは購入直後に「新築プレミアム」が剥落し、資産価値が下落します。
一方で、住宅ローンの返済は、最初のうちは返済額の多くが「金利」の支払いに充てられるため、「元本」があまり減りません。
この「資産価値の下落スピード」が「ローン残債の減少スピード」を上回ってしまう期間が、新築投資では長く続きます。
例えば、4,000万円で購入した新築ワンルームが、5年後の売却時に市場価格で3,200万円と査定されたとします。しかし、その時点のローン残債がまだ3,400万円残っていた場合、売却してもローンを全額返済できません。
抵当権を抹消して売却するためには、不足分の200万円、さらに仲介手数料などの諸経費を含めた現金を、自己資金から持ち出す必要があります。
この仕組みを理解せずに短期・中期での売却を前提にしてしまうと、「売りたくても売れない(売るための現金がない)」あるいは「売却するために数百万円の貯金を吐き出す」という事態に直面することになります。

【2025年版】建築費高騰と新築マンション市場の現状

2025年現在、不動産投資を検討する上で避けて通れないのが、「建築費の記録的な高騰」と「金利のある世界への転換」という二つの大きな外部環境の変化です。
数年前のセオリーや成功法則が通用しなくなっている今、現在の市場環境を正確に把握せずに、過去の成功事例だけを参考に投資を始めるのは非常に危険です。
ここでは、最新のデータと現場の肌感覚に基づき、これからの新築マンション市場がどう動いていくのか、投資家が直面するシビアな現実について解説します。

資材費・人件費の高騰で「物件価格の上昇」はいつまで続く?

ここ数年、円安による輸入資材(コンクリート、鉄筋、木材など)の価格上昇に加え、建設業界における慢性的な人手不足、さらには「2024年問題(時間外労働の上限規制)」による労務コストの増加により、マンションの建築原価は右肩上がりで上昇を続けています。
土地の仕入れ価格も上昇しており、デベロッパー(開発業者)は、これらのコスト増を販売価格に転嫁せざるを得ない状況にあります。
結果として、新築マンションの価格は都心部を中心に過去最高水準を更新し続けており、特に東京23区においてはバブル期並み、あるいはそれ以上の価格帯となっています。
「これだけ上がれば、いつか暴落するのでは?」と価格調整を期待される方もいらっしゃいますが、原価(コスト)ベースで価格が上がっている以上、デベロッパーも赤字で売るわけにはいかず、短期的な大幅な価格下落は考えにくいのが現状です。
投資家にとって辛いのは、物件価格が上がったからといって、「賃貸市場の家賃」が同じペースで上がるわけではないという点です。入居者の給与が急激に上がらない限り、家賃の大幅な値上げは難しく、結果として投資利回り(物件価格に対する家賃収入の割合)は低水準に圧縮されています。

「金利ある世界」へ|金利上昇が毎月の返済額と収支に与える影響

長らく続いた日銀の異次元金融緩和が修正され、日本も本格的な「金利ある世界」へと移行しつつあります。マイナス金利解除以降、固定金利だけでなく、多くの投資家が利用する変動金利にも上昇の圧力がかかっています。
不動産投資は、自己資金の何倍もの金額を借り入れる「レバレッジ」を効かせる投資手法であるため、金利の影響をダイレクトに受けます。
わずか0.5%や1.0%の金利上昇であっても、長い期間で見れば、総返済額には数百万円単位のインパクトを与えます。
これまでは「超低金利(1%台など)」のおかげで、利回りの低い新築マンションでもなんとか収支がトントン、あるいは僅かなプラスを維持できていたケースもありました。
しかし、変動金利が上昇局面に入ると、家賃収入が変わらない中で、毎月の銀行への返済額だけが増加することになります(※5年ルール・125%ルール等により毎月の支払額が即座に変わらない場合でも、元本の減りが遅くなり、最終回の支払いにしわ寄せがいきます)。
特に新築区分マンションはもともとの利回りがギリギリの水準であるため、金利上昇に対する許容範囲(バッファ)が極めて狭く、金利が少し上がった瞬間に収支が悪化し、「毎月手出し(赤字)」へと転落するリスクが高まっています。
2025年以降の投資判断においては、現状の金利だけでなく、「金利が1%、2%上がったとしても破綻しないか」というストレステスト(負荷をかけたシミュレーション)を行うことが、これまで以上に重要となってきます。

新築マンション投資で失敗する前に知っておきたい3つの重要ポイント

ここまで新築マンション投資のネガティブな側面や注意点を中心にお伝えしましたが、全ての新築投資が不適切というわけではありません。
ご自身の資産状況や目的によっては新築が適しているケースもあります。また、リスクを正しく理解したうえで適切な対策を講じれば、大怪我する可能性を減らし、むしろ安定した運用が可能なケースもあります。
新築マンション投資を検討されるのであれば、以下の3つのポイントを知っておきましょう。

ポイント1:含み損を考慮した出口戦略 / 長期保有戦略

新築マンション投資は、購入価格と売却時の評価額に乖離が生じやすいため、短期(5年〜10年以内)での売却益(キャピタルゲイン)を狙う手法としては「購入時の価格相場」「市況」の影響が大きく、投機的な側面が強くなります。
そのため、購入を検討する場合は、最初から「含み損」が発生することを前提とし、それを長期的な家賃収入(インカムゲイン)でどう回収していくかという出口戦略を立てることが合理的です。
「10年後、15年後、20年後に、いくらで売れそうか(リセールバリュー)」
「その時のローン残債はいくらまで減っているか」
この2点を保守的に見積もり、売却時の手残り額と、それまでの運用期間中の収支(累計キャッシュフロー)を合算した「トータルの損益」がプラスになるかを計算する必要があります。
また、市況が悪化して売るに売れない時期が来ても持ち堪えられるよう、20年、30年といった長期保有を視野に入れておくことも大切です。
「数年後には値上がりしているかもしれない」といった希望的観測ではなく、「最悪の場合でも資産を守れるか」という守りの視点でシミュレーションを描くことが重要です。

ポイント2:「家賃下落率」を織り込んでシミュレーションする

不動産市場の実態として、建物は経年により陳腐化し、それに伴い家賃も下落するのが一般的です。つまり、現在の家賃収入は将来にわたって同額で維持されるわけではありません。
特に新築時は、「新築プレミアム」によって家賃が相場よりも高めに設定されている場合が多いです。そのため、最初の入居者が退去した後の再募集(2回転目)のタイミングや、10年後の更新時に、家賃の値下げが必要になることも想定されます。
ご自身で収支を検討する際は、例えば、「年率1%ずつの家賃下落」や「10年ごとに5%〜10%の家賃ダウン」といった変動要因を織り込んで計算することをお勧めします。
また、空室リスクについても、「数年に一度の退去」や、次の入居者が決まるまでの「原状回復期間(1〜2ヶ月)」を見込み、稼働率90%〜95%程度で厳しめに見積もっておくことが、安全な投資への第一歩です。

ポイント3:新築だけでなく「築浅中古」や「中古」と比較する

最も重要なのは、一つの選択肢に固執せず、広い視野で比較検討することです。
例えば「築浅中古(築5年〜10年)」の物件は、新築プレミアムが剥がれ落ち、価格が新築時よりも落ち着いています。
一方で、設備や建物はまだ十分に新しく、融資条件も比較的有利に引き出せるケースがあります。
さらに、実際の家賃実績や管理組合の運営状況を確認してから購入できるというメリットもあります。
同じ予算、同じエリアで、「新築」と「築浅中古」、あるいは「中古の一棟アパート」を比較したとき、投資効率(ROI)や毎月のキャッシュフローにどれだけの差が出るのか。
フラットな目線で、複数の選択肢を数字で比較検討し、ご自身の投資目的(節税なのか、売却益なのか、年金代わりの収入なのか)に最も合致するものを選ぶことをお勧めします。


新築区分(ワンルーム)新築一棟マンション築浅中古(区分/一棟)
価格の性質新築プレミアムが含まれる(割高)土地と建物の総額。建築費高騰の影響大 市場価格(収益還元)に近い
資産価値購入直後に1〜3割下落する傾向あり土地値が資産の下支えになる緩やかな下落、または横ばい
利回り比較的低い(2〜4%程度)区分よりは高いが、建築費高騰で低下傾向相対的に高いキャッシュフローを狙える
空室リスク1室空けば収入ゼロ複数戸でリスク分散が可能 既存入居者がいれば実績を確認可能
向いている人年収700万円程度までの与信枠の活用、短期的な税金対策資産規模拡大、長期事業的運用手取り収入(CF)重視

まとめ:毎月の「インカム」を増やしたい人には不向きな現実

新築マンション投資、特に新築区分投資は、構造的に利回りが低くなりやすく、純粋な収益不動産として「毎月の現金収入を得る」ことを目的とするには、難易度が比較的高い投資手法です。
「毎月の手取り収入を増やして生活を豊かにしたい」というキャッシュフロー重視の目的であれば、価格と家賃のバランスが取れ、既に利回りが確定している「中古物件」や、規模のメリットによって効率的な運営ができる「一棟アパート」の方が、目的に対して合理的な手段である可能性が高いです。
とはいえ、新築には新築の良さがあり、中古には中古の良さがあります。
重要なのは、それぞれのメリットとデメリット、そしてリスクの所在を正しく理解し、ご自身のライフプランや資産状況に合わせて最適なポートフォリオを組むことです。

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この記事の監修者:北嶋 憲

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株式会社新日本コンサルティング アセットマネジメント事業部部⾧

1974 年1月生まれ
自身も複数棟のアパート経営を行うサラリーマン大家