不動産売却の手取り計算|査定額から費用を引くといくら残る?

公開日:2026年06月22日
最終更新日:2026年06月22日

不動産を売却する際、売却価格がそのまま手元に入るわけではありません。
仲介手数料などの諸費用や、売却で得た利益にかかる税金が差し引かれます。
この記事では、不動産の売却価格から実際にいくら手元に残るのか、手取り額を正確に計算するためのステップやシミュレーション、費用を抑えるポイントを解説します。

事前に計算方法を理解し、資金計画を立てることが重要です。

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目次

【基本】不動産売却における手取り額とは?査定価格との違いを解説

不動産売却における手取り額とは、売却価格から仲介手数料をはじめとする諸費用や、譲渡所得税などの税金をすべて差し引いて、最終的に売主の手元に残る金額のことです。
不動産会社が提示する査定価格は、あくまで市場での想定売却価格の目安であり、手取り額とは異なります。

提示された査定額から、どのような費用が引かれるのかを正確に把握し、手取りの額を計算することが大切です。

不動産売却の手取り金額を計算する3つのステップ

不動産売却の手取り金額は、大きく分けて3つのステップで計算できます。
まず「ステップ1:売却でかかる諸費用を把握する」、次に「ステップ2:利益にかかる税金(譲渡所得税)を計算する」、最後に「ステップ3:適用できる税金の特例・控除を確認する」という流れです。

ウェブサイト上で提供されているシミュレーションツールを使えば、数値を入力するだけで概算を手軽に算出することも可能です。

ステップ1:売却でかかる諸費用を把握する

手取り額を計算する最初のステップは、売却にかかる諸費用を正確に把握することです。
諸費用の総額は、売却価格のおおよそ4%~6%が目安とされています。
主な費用には、不動産会社に支払う仲介手数料、売買契約書に貼る印紙税、住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消登記費用などがあります。

その他にも状況に応じてハウスクリーニング費用や測量費などが発生する場合もあります。

不動産会社に支払う仲介手数料

仲介手数料は、不動産売買の仲介を依頼した不動産会社へ成功報酬として支払う費用です。
宅地建物取引業法で上限が定められており、速算式を用いて算出するのが一般的です。
例えば、売却価格が400万円を超える場合の上限は「(売却価格×3%+6万円)+消費税」となります。

この手数料の支払いは、売買契約時と引き渡し完了時に半金ずつ支払うケースや、決済/引渡し時に全額支払うケースが一般的です。
仲介手数料は諸費用の中でも最も大きな割合を占めます。

仲介手数料=(売却価格×3%+6万円)+消費税

契約書に貼付する印紙税

印紙税は、不動産売買契約書などの課税文書を作成した際に課される税金です。
契約書に記載された金額に応じて税額が決められており、収入印紙を契約書に貼付して納税します。
例えば、契約金額が1,000万円超5,000万円以下の場合、本則税額は2万円ですが、2027年3月31日までは軽減措置が適用され1万円となります。

通常、契約書は売主用と買主用の2通作成するため、それぞれが1通分を負担します。

住宅ローン完済に必要な抵当権抹消登記費用

売却する不動産に住宅ローンが残っている場合、残債を完済し、金融機関が設定した抵当権を抹消する手続きが必要です。
この抵当権抹消登記は司法書士に依頼するのが一般的で、その際に司法書士へ支払う手数料が発生します。
費用には、登記手続き自体に必要な登録免許税(不動産1個につき1,000円)と、司法書士への報酬が含まれ、合計で1万5,000円から2万円程度が相場です。

その他(ハウスクリーニング費用や解体費など)

上記以外にも、状況に応じてさまざまな費用が発生する可能性があります。
例えば、買主への印象を良くするためのハウスクリーニング費用(5万円~15万円程度)、土地を更地で売却する場合の建物解体費(100万円以上)、隣地との境界が不明確な場合の土地測量費(35万円~85万円程度)などが挙げられます。

これらの費用は必ずしも必須ではなく、売却戦略に応じて発生するものです。
不要な手数料を支払わないよう、必要性を慎重に判断することが重要です。

ステップ2:利益にかかる税金(譲渡所得税)を計算する

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税が課税されます。
これらを総称して「譲渡所得税」と呼びます。
譲渡所得税は、売却した翌年に確定申告を行い納税します。

あくまで利益に対してかかる税金であるため、購入時より安く売却して損失が出た場合は課税されません。
この税金の計算が手取り額を算出する上で非常に重要なポイントとなります。

譲渡所得の具体的な算出方法

譲渡所得は、以下の計算式で算出します。 「譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)」。 ここでいう「取得費」とは、売却した不動産の購入代金や購入時にかかった諸費用(仲介手数料、登録免許税など)から、建物の減価償却費を差し引いた金額です。 「譲渡費用」は、売却のために直接かかった費用で、仲介手数料や印紙税などが該当します。 この計算でプラスになった利益部分に税金がかかります。

物件の所有期間で変わる税率(長期・短期)

譲渡所得税の税率は、不動産を所有していた期間によって大きく異なります。
所有期間は、売却した年の1月1日時点で判断されます。
所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり税率は39.63%(所得税30.63%、住民税9%)です。

一方、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に区分され、税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)に下がります。
この税金の違いは手取り額に大きく影響します。

購入時の金額が不明な場合の取得費の計算ルール

先祖から相続した土地や、購入時の売買契約書を紛失した場合など、取得費が不明なケースがあります。
その際は「概算取得費」として、売却価格の5%を取得費とみなして計算することが認められています。
例えば、3,000万円で売却した場合、その5%である150万円が取得費となります。

ただし、実際の取得費が5%を下回る場合を除き、この方法は実際の取得費で計算するより譲渡所得が大きくなり、税負担が増える傾向にあります。

ステップ3:適用できる税金の特例・控除を確認する

不動産売却で利益が出た場合でも、特定の要件を満たすことで譲渡所得税の負担を大幅に軽減できる特例や控除の制度が用意されています。
代表的なものに「3,000万円特別控除」や「10年超所有の軽減税率の特例」などがあります。

これらの制度を活用できるかどうかで、最終的な手取り額は大きく変わります。
どの特例が利用できるか、事前に条件を確認し、計画的に税金対策を行うことが重要です。

マイホーム売却で使える3,000万円特別控除

マイホーム(居住用財産)を売却した場合、所有期間の長短に関わらず、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。
この控除を適用することで、譲渡所得が3,000万円以下であれば譲渡所得税はかかりません。
親子や夫婦間での売買でないこと、家屋を取り壊した場合は1年以内に土地の売買契約を締結することなど、いくつかの適用要件を満たす必要があります。

非常に節税効果の高い制度ですが、利用するには確定申告が必要です。

10年以上所有した場合の軽減税率の特例

売却した年の1月1日時点で、所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合、長期譲渡所得よりもさらに低い税率が適用される特例です。
譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について、税率が14.21%(所得税10.21%、住民税4%)に軽減されます。
この特例は「3,000万円特別控除」と併用が可能です。

併用した場合、譲渡所得から3,000万円を差し引いた後の金額に対して、この軽減税率が適用されるため、税金の負担を大きく減らせます。

住み替え時に利用できる買換え特例

マイホームを売却し、新たにマイホームを購入する場合、一定の要件を満たせば、売却益に対する課税を将来に繰り延べることができる制度です。
この特例は、税金が免除されるわけではなく、買い換えた不動産を将来売却する時まで課税が先送りされる仕組みです。
なお、この「買換え特例」と前述の「3,000万円特別控除」および「軽減税率の特例」は選択適用となり、併用することはできません。

どちらが有利になるか、慎重な判断が求められます。

【価格別】不動産売却の手取り額シミュレーション

ここでは、具体的な売却価格をもとに、手取り額がいくらになるのかをシミュレーションします。
計算をシンプルにするため、諸費用は仲介手数料のみ、税金は3,000万円特別控除を適用する前提で計算例を示します。
実際の取引では他の費用も発生するため、あくまで概算として参考にしてください。

3,000万円で売却できた場合の手取り計算例

売却価格:3,000万円
取得費:2,000万円
譲渡費用(仲介手数料):105万6,000円
譲渡所得の計算
3,000万円-(2,000万円+105万6,000円)=894万4,000円

課税譲渡所得の計算(3,000万円特別控除を適用)
894万4,000円-3,000万円=0円(マイナスのため)
課税対象額が0円なので、譲渡所得税はかかりません。
手取り額の計算
3,000万円(売却価格)-105万6,000円(譲渡費用)=2,894万4,000円
このケースでの手取り額は、約2,894万円となります。

5,000万円で売却できた場合の手取り計算例

売却価格:5,000万円
取得費:2,500万円
譲渡費用:171万6,000円
所有期間:10年超

  1. 譲渡所得の計算
    5,000万円 – (2,500万円 + 171万6,000円) = 2,328万4,000円
  2. 課税譲渡所得の計算
    「マイホームを売却した場合の3,000万円特別控除」を適用した場合、譲渡所得が3,000万円に満たないため、譲渡所得の金額が限度となります。
    2,328万4,000円 – 2,328万4,000円 = 0円
    このケースでは課税譲渡所得が0円となるため、譲渡所得税はかかりません。
  3. 手取り額の計算
    5,000万円 – 171万6,000円 = 4,828万4,000円
    (譲渡所得税はかからないため、手取り額から差し引く税金はありません。)
    このケースでの手取り額は、約4,828万円です。

売却で損失が出た(譲渡損失)場合の税金の扱い

不動産を売却して利益が出ず、損失が発生した場合、譲渡所得税は課税されません。
マイホームの売却で譲渡損失が生じ、一定の要件を満たす場合には「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を利用できます。
この特例を適用すると、その譲渡損失を給与所得や事業所得など他の所得から差し引くことが可能です。

その年で控除しきれない損失は、翌年以降最大3年間繰り越せます。
この特例を受けるには、確定申告で税金の手続きが必要です。

不動産売却の手取り額を最大化するための3つのポイント

不動産売却における手取り額を少しでも多くするためには、「売却価格を高くする」ことと「支出を抑える」ことの2つの視点が重要です。
売買の戦略や費用の見直し、税金の特例活用など、いくつかのポイントを押さえることで、最終的な手残りを増やすことが可能になります。

複数の不動産会社に査定を依頼し売却価格を比較する

手取り額を最大化する最も直接的な方法は、不動産をできるだけ高く売却することです。
そのためには、1社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された査定額や販売戦略を比較検討することが不可欠です。

各社の強みや査定の根拠を確認し、最も信頼でき、高く売ってくれる可能性のある会社と媒介契約を結ぶことが、有利な売買の第一歩となります。
一括査定サイトを利用すると、効率的に複数社から査定を取得できます。

複数の不動産会社に査定を依頼し売却価格を比較する

手取り額を最大化する最も直接的な方法は、不動産をできるだけ高く売却することです。
そのためには、1社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された査定額や販売戦略を比較検討することが不可欠です。

各社の強みや査定の根拠を確認し、最も信頼でき、高く売ってくれる可能性のある会社と媒介契約を結ぶことが、有利な売買の第一歩となります。
一括査定サイトを利用すると、効率的に複数社から査定を取得できます。

不要なオプション費用を見直して支出を抑える

支出を抑える視点では、諸費用の中身を精査することが有効です。
例えば、不動産会社から提案されるハウスクリーニングやリフォーム、測量などは、売却に必ずしも必要とは限りません。
これらの費用が本当に売却価格の上昇につながるのか、費用対効果を慎重に見極める必要があります。

提案された手数料やサービス内容を鵜呑みにせず、不要なオプションは断ることで、支出を削減し手取り額を増やすことにつながります。

税金の控除や特例をもれなく活用するために専門家に相談する

税金の控除や特例は、手取り額に大きな影響を与えます。
しかし、適用要件が複雑であったり、複数の特例から有利な方を選択する必要があったりと、専門的な知識が求められる場面も少なくありません。
適用できる制度をもれなく活用し、適切に節税するためには、税理士などの専門家に相談するのが確実です。

専門家への相談費用はかかりますが、それ以上の節税効果が得られる可能性も高く、結果的に手取り額の最大化につながります。

不動産の手取り計算に関するよくある質問

ここでは、不動産の売却における手取り額の計算や受け取りに関して、多くの人が抱く疑問について回答します。
売却プロセスを進める上での不安を解消するため、事前に確認しておきましょう。

不動産を売却した後の手取り額はいつもらえますか?

h3:不動産を売却した後の手取り額はいつもらえますか?
手取り額は、買主への物件の引き渡しと同時に行われる「決済日」に受け取るのが一般的です。
決済日に、売買代金の残金が買主から支払われます。
その中から住宅ローンの残債や仲介手数料などの諸費用を一括で支払い、その残りが最終的な手取りとして口座に振り込まれます。

売却して利益が出なかった場合でも確定申告は必要ですか?

売却によって利益(譲渡所得)が出なかった場合は、原則として確定申告は不要です。
しかし、売却で損失が出た際に「譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の特例を利用したい場合は、確定申告を行う必要があります。
この特例を適用することで、所得税や住民税の還付を受けられる場合があります。

手取りの計算が複雑です。誰に相談すれば正確な金額がわかりますか?

手取り額の概算であれば、不動産会社の担当者に相談すれば計算してもらえます。
しかし、税金の特例適用など専門的な判断が必要な部分については、税理士に相談するのが最も確実です。
特に複数の特例から有利なものを選択する場合など、個別の状況に応じた正確な額の把握には専門家の助言が有効です。

まとめ

不動産売却の手取りは、売却価格から諸費用と税金を差し引いて計算されます。
手取り額を最大化するためには、複数の不動産会社に査定を依頼して高く売る努力をすると同時に、不要な費用を削減し、3,000万円特別控除などの税金の特例をもれなく活用することが重要です。
複雑な計算や税金の判断に迷う場合は、不動産会社や税理士といった専門家に相談し、正確な資金計画のもとで売買を進めることが求められます。

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この記事の監修者:北嶋 憲

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株式会社新日本コンサルティング アセットマネジメント事業部部⾧

1974 年1月生まれ
自身も複数棟のアパート経営を行うサラリーマン大家