公務員はアパート経営できる?可能になる条件や始めてからの注意点

公開日:2023年11月09日
最終更新日:2024年04月02日
公務員はアパート経営できる?可能になる条件や始めてからの注意点

「公務員はアパート経営できる?」
「公務員がアパート経営するために注意すべきことは?」

上記のような疑問を抱えている公務員の方もいるのではないでしょうか?

民間企業と異なり、公務員は営利団体ではないことから、営利目的でビジネスを行うことは違法です。そのため、原則副業禁止となりますが、定められた条件をクリアすることで、公務員の方もアパート経営ができます。

不動産投資の中でも比較的条件をクリアしやすいアパート経営ですが、公務員の方が始める場合は、事前に申告しなければ信用失墜行為となり、懲戒解雇の恐れもあります。

そこで本記事では、公務員のアパート経営を行う上で定められている条件や申請方法、準備する書類、注意点について解説します。

「アパート経営に興味がある」「将来的に不動産経営で資産を増やしたい」公務員の方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること
  • アパート経営をするのにクリアしなければいけない条件
  • アパート経営を始める際に必要な準備
  • アパート経営を行う上での注意点

公務員のアパート経営が副業禁止に該当しないための条件

公務員のアパート経営が副業禁止に該当しないための条件

公務員がアパート経営をするためには、定められている条件をクリアしなければなりません。

副業禁止に該当しないアパート経営の条件は以下の3つです。

  • アパート経営の規模を4棟9部屋以下に抑える
  • 家賃収入を年間500万円未満に抑える
  • 自分で管理業務を行わない

詳しく解説します。

アパート経営の規模を4棟9部屋以下に抑える

アパート経営を行う場合、営利目的の不動産投資と判断されないことが重要です。

アパート規模によって副業できるかどうかの条件が変わるため、経営したい場合は制限が設けられている一定規模を超えないようにしなければなりません。

具体的には、5棟10室以上のアパート経営は、営利目的とみなされてしまうため、国家公務員法という法律に違反してしまいます。

人事院規則では、以下のように明記されています。

入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合   
イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。

引用:人事院規則14-8

職種的に地方公務員・国家公務員は営利企業ではないため、営利目的だと思われないように、アパート経営を始める場合は、上記の「人事院規則14-8」をよく確認してから始めましょう。

家賃収入を年間500万円未満に抑える

棟数や部屋数以外にも、家賃収入(不動産収入)の額も一定の条件が定められています。

アパート経営を行うのであれば、家賃収入(不動産収入)が年間500万円未満でなければいけません。

万が一、家賃収入(不動産収入)だけで年収500万円を超えてしまうと、営利目的の不動産投資だと判断されてしまい、国家公務員法に抵触してしまいます。

そのため、家賃収入(不動産収入)が年間500万円を超えないように家賃設定することが重要です。

例えば、家賃5万円に設定し、8部屋を貸す場合、5万円×8部屋×12ヶ月=480万円となるため、問題なくアパート経営ができることになります。

家賃を上げて利益を確保しようとすると、すぐに500万円を超えてしまうため、収支のバランスが取れるような賃貸物件を探して年間500万円といった範囲内で経営することが必要です。

なお、賃貸収入が発生したら確定申告して税金を納める必要があるため、注意してください。

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自分で管理業務を行わない

そもそも公務員は、自分の仕事に専念しなければいけないといった義務があるため、アパート経営を自分で管理することは認められていません。

そのため、管理業務を管理会社に委託する必要があります。

人事院規則でも、以下のように明記されています。

入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。

引用:人事院規則14-8

アパートの管理業務は、入居者募集や家賃の回収、建物内外のメンテナンスなど、業務が多岐にわたるため、専業にしなければ業務を回すのが難しいです。

時間に余裕がないため、アパート経営を行う場合は、自ら管理業務に従事せず、管理会社に委託するスキームを構築しましょう。

公務員がアパート経営を行うための申請と準備する書類

公務員がアパート経営を行うための申請と準備する書類

アパート経営を始めるにあたって、まずは申請や書類が必要です。

先ほどお伝えした条件を満たしていなくても、申請することで問題なくアパート経営ができることもあるため、本項では以下2点について深掘りします。

  • アパート経営を始めるには申請が必要
  • アパート経営に必要な申請書類

順番に解説します。

アパート経営を始めるには申請が必要

アパート経営を始めるには、所属する省庁や役所に申請して承認を得る必要があります。

許可を得られやすいケースは、主に以下の通りです。

  • 生前贈与や遺産相続でアパートを取得した場合
  • 転勤やライフスタイルの変化などで住めなくなった自宅を賃貸する場合

相続は誰にでも起こり得ることで、一人っ子となれば仕方なくアパートのオーナーになることもあるでしょう。

そのような場合、5棟10室以上の規模でも不動産投資として認められる可能性が高いです。

また、転勤やライフスタイルの変化などが理由で住んでいた住居を売却もしくは賃貸として出す選択肢もあります。

この場合、やむを得ない事情ということで、申請の許可が降りやすい傾向です。

アパート経営に必要な申請書類

公務員がアパート経営を行う場合の規定条件を全て超えない場合、以下の書類の提出が必要です。

  • 自営兼業承認申請書
  • 不動産管理の委託契約書
  • アパートの登記簿謄本
  • 物件概要書(図面など)
  • 貸借条件一覧表(レントロール)

自営兼業承認申請書は、国家公務員が副業を行うことを認めてもらうための申請書類です。

不動産管理の委託契約書は、管理業務を管理会社などへ委託する際の契約書で、アパートの登記簿謄本は、不動産の情報が記載されている書類のことを指します。

住所や価格、面積や建物の構造などが記載されている物件概要書や不動産物件各室の賃貸条件が明記されている貸借条件一覧表も必要となるため、頭に入れておきましょう。

また、申請に必要な書類は所属する組織によって異なるケースもあるため、始める前に、必要書類を確認しておくことが望ましいです。

公務員がアパート経営を始めるメリットやデメリット

本項では、公務員がアパート経営を始めるメリットとデメリットについて詳しくご紹介します。

どちらも把握しておけば、よりアパート経営の魅力や仕組みについての理解を深められるでしょう。

以下2つの内容をぜひ参考にしてみてください。

公務員がアパート経営を始めるメリット

公務員がアパート経営を始めるメリットはさまざまですが、主に以下の通りです。

  • 不労所得を得られる
  • 好条件で融資を受けやすい

原則副業を禁止されている公務員ですが、「アパート経営の規模を4棟9部屋以下に抑える」「家賃収入を年間500万円未満に抑える」「自分で管理業務を行わない」の条件がアパート経営を行う対象となる条件です。

入居者さえいれば、管理会社に管理業務を委託しているため自分が動かずに不動産所得といった収益を発生させることが可能です。

また、公務員は国家が潰れない限りずっと存在する職業であるため、社会的信用度が高いのも大きなメリットです。

信用度が高いだけでなく、安定した収入がもらえるため、アパートローンの審査に通りやすくなります。

さらに、公務員の信用度の高さによって低金利の融資を受けやすい傾向にあり、低金利の融資を受けられると、ローンの負担を低減できるのも嬉しいポイントです。

アパート経営を始める場合、本業に支障をきたさない程度に行いましょう。

アパート経営における公務員であることのデメリット

一方、デメリットは主に以下の通りです。

  • 経営の規模を拡大できない
  • 経営するアパートの規模が大きい場合、申請しても許可が下りない可能性がある
  • 家賃を上げにくい

あらかじめ定められている条件を超えるアパート経営を行いたい場合は、許可が必要です。

相続や転勤などといったやむを得ない場合以外で、定められている基準を超える場合は、許可されないケースが多い傾向があります。

また、年間の家賃収入が500万円未満に抑えなければいけないため、利益を確保したいという理由で家賃をあげることも難しいです。

もし経営拡大を試みているのであれば、公務員を退職するまでは定められた基準内でアパート経営を行い、退職後に拡大するのがおすすめです。

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公務員がアパート経営をする際に考慮すべき注意点

公務員がアパート経営する際、主に以下の注意点を意識する必要があります。

  • アパート経営の申請をするタイミングは始める前
  • 申請をしないまま開始すると懲戒処分を受ける可能性がある
  • アパート経営のリスクの把握が重要

事前にアパート経営を行う際の注意点を把握すれば、懲戒免職される不安を払拭できるでしょう。

それでは、順番に解説します。

アパート経営の申請をするタイミングは始める前

アパート経営の申請は、特にタイミングの決まりはありません。

ただし、アパート経営を開始する前に申請することがおすすめです。

銀行から融資を受ける前や相続する前に申請を行えば、承認されなかった場合の損失を避けられます。

自分の判断で勝手にアパート経営を始めて申請してしまうと、承認されなかった場合に何かしらのペナルティを受ける可能性が高いです。

そのような状況に陥らないためにも、アパート経営の申請をするタイミングは必ず始める前に済ませておきましょう。

申請をしないまま開始すると懲戒処分を受ける可能性がある

アパート経営を行う際、申請や正確な所得を申告しない場合は、懲戒処分を受ける可能性があります。

ここでいう懲戒処分とは、以下の通りです。

  • 減給
  • 免職

公務員は職務遂行において公正中立な立場を保持する必要があり、私的な経済利益との利益相反を避けなければなりません。

アパート経営は私的な経済活動であり、申請をせずに開始することは職務遂行との利益相反と見なされる行為となってしまうでしょう。

アパート経営で失敗しないためにも、必ず職場で申請を行ってからアパート経営をするようにしてください。

アパート経営のリスクの把握が重要

アパート経営をするのであれば、当然リスクを把握しておく必要があります。

特に大きなリスクとして考えられるのが、入居者が集まらないことです。入居者が集まらない場合、当初予定していた利益が得られない可能性があります。

例えば、賃貸需要が少ない立地でアパート経営を始めても入居者が集まりにくくなります。空室率が高くなってしまえば、その分ローンの返済が遅れてしまいます。

需要がある地域を選ぶだけでなく、空室リスクを回避するために現金をコツコツ貯蓄し、手元に自己資金をたくさん持って空室対策する必要があるでしょう。

他にも、災害に見舞われるリスクもあるため、そのような場合に備えて火災保険や地震保険への加入も必要です。

常にリスクを考えた上で、アパート経営を始めることが大切となります。

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不動産投資を検討している公務員は新日本コンサルティングへ!

本記事では、公務員のアパート経営を行う上で定められている条件を中心に、申請方法や準備する書類、注意点などを解説しました。

公務員は、原則副業禁止となりますが、本記事でお伝えした3つの条件を守ることでアパート経営を行うことが可能です。

アパート経営をする上で、特に買った後の管理が重要であり、公務員がアパート経営を始める際には信頼できる管理会社への委託が必要です。

今後もし公務員の方でアパート経営を始めたいと思っている方がいましたら、管理まで含めて長期間のサポートが充実している新日本コンサルティングをおすすめします。

新日本コンサルティングは、入居率95%以上を実現させており、入居者が集まらずローンの返済プラン通りにいかないといったリスクも軽減でき、安心・安全に不動産経営ができます。

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この記事の監修者:北嶋 憲

北嶋 憲

株式会社新日本コンサルティング アセットマネジメント事業部部⾧

1974 年1月生まれ
自身も複数棟のアパート経営を行うサラリーマン大家

【保有資格】
・宅地建物取引士
・不動産コンサルティングマスター
・AFP